レアアースの採掘、利用の3つの課題
地球規模でレアアースを探す
携帯電話やカメラなど、日常的に使っている電子機器に使用されているレアアースは、中国でほとんど生産しています。日中関係が悪化した時期に中国が輸出量を制限したことで、安定供給に不安が生じました。そのため、別の場所でレアアースを得ることが急務となり、日本は地球規模でレアアースを探しています。探す技術、取り出す技術とも、現在、研究が進行中です。しかし、レアアースの生産には3つの大きな課題があります。
放射能とコストの課題
まず挙げられるのが、放射能の問題です。レアアースは、ウランやトリウムといった放射性元素と挙動が似ているので、レアアースを精製したときに、中に放射性物質が含まれることがあります。これを分離してどこかに隔離しなくてはいけません。
次に、コストの問題です。レアアースの現在の主要産出国である中国の鉱床には磁鉄鉱が含まれているので、鉄鉱石生産の副産物としてレアアースを生産することができます。それで中国のレアアースは安価なのです。新しくレアアースを採掘するならば、対抗できる価格で生産できなくてはいけません。つまりいかに高濃度の鉱石を探すかが問題です。ちなみに経済性という面から考えると、南鳥島で見つかったレアアースが利用できるのは、もう少し先のことになるだろうと考えられています。
待望される新技術の確立
最後に、鉱物からレアアースを取り出す方法が大きな課題です。中国の鉱山では土のような状態のものに硫酸アンモニウムの水溶液をかけてレアアースを取り出す方法をとっています。これは非常に簡単かつ安価な技術です。ところが石の状態の鉱物からレアアースを溶かして取り出す技術はまだ確立されていません。コスト面も合わせて考えると、科学的な発明による飛躍的な技術の進歩(ブレークスルー)が必要だといえます。
このような課題を乗り越えるべく、レアアースを取り出す技術の研究は日進月歩で進んでいます。
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