地下の鉱物資源を探し、分析する方法とは

地下の鉱物資源を探し、分析する方法とは

鉱物資源は空から探す!

金やレアメタルといった鉱物資源はどのようにして探すのでしょうか。かつては地上に出ている石を掘り、目的の元素があるかどうかを分析していました。しかし長年の調査で地表の資源は開発し尽くされ、現在では地下に埋もれている資源を探すのが主流です。第一段階は、人工衛星による「リモートセンシング」です。近赤外線を地球に当てて、その反射光を調べます。鉱物の結晶構造によって反射のスペクトルが違うので、そのパターンを見れば「ここの地下には銅が多いはず」と考えられるのです。

地上での調査

目的の鉱物がありそうな場所がわかったら、現地に赴いて地質調査をします。地下に電気を流すなどの「物理探査」という方法で、目的の鉱物が本当にあるかどうかをチェックします。
また、「地化学探査」といって、地表の石や土壌にどれぐらい目的の元素が含まれているかを測定します。目的の元素が多く含まれる部分を「鉱床」と呼びます。火山岩や深成岩をつくるマグマには数パーセントの水が含まれていて、マグマが固まるときにその水分は絞り出されます。この水を熱水と呼びます。熱水には金属元素が多く含まれ、温度が下がると金属鉱物が沈殿します。例えば銅鉱物を沈殿したあとの熱水が地表の岩石と反応すると、粘土鉱物ができます。このような化学反応によりできた鉱物を目印にボーリングをして銅鉱物が本当に地下にあるかどうかを確かめます。

特定の技術は格段の進歩

野外で採取した岩石に含まれる鉱物を特定するには、光学顕微鏡で薄く切った岩石を観察したり、岩石を粉末にしてX線を当てて鉱物の結晶構造を調べることから始まります。化学組成の分析も、機器の進歩で今では一度に50種類ぐらいの元素を同時に測定することができます。機器も小型化され、野外で金属元素の濃度が測定できる装置も開発されています。特にレアメタルやレアアースの探査は大きな課題なので、これからも資源探査の技術はどんどん進歩していくでしょう。

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秋田大学 国際資源学部 国際資源学科 資源地球科学コース 教授 渡辺 寧 先生

秋田大学 国際資源学部 国際資源学科 資源地球科学コース 教授 渡辺 寧 先生

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鉱物学

先生が目指すSDGs

メッセージ

これからの産業を維持するうえで、資源を確保するのは人類共通の課題です。やらなくてはいけないし、やりがいのある仕事です。さらにこの学問の魅力は、世界中を旅して、自然に接することができるところにもあるでしょう。
いろいろな国々の人と一緒に調査や仕事ができるところも、おもしろい点です。海外では、日本人が思うようなペースでものごとが進むことはないので、柔軟性が養われます。
岩石や鉱物が好きな人、世界中のあちこちに行ってみたい人、冒険してみたい人はぜひこの分野に来てください。

秋田大学に関心を持ったあなたは

地球を舞台に活躍する資源スペシャリストを養成する「国際資源学部」、教育分野や地域社会における現場実践力を養う「教育文化学部」、地域医療の核となり人々の健康と福祉に貢献する「医学部」、独創的な発想と技術力を育む「理工学部」の四学部が連携し、地域に根ざし世界に発信する教育・研究拠点をめざしています。
四季の彩り豊かなキャンパスでは、日本全国そして世界各国から集った学生がそれぞれの目標に向かい、勉学や課外活動に打ち込んでいます。