社会人に必要な「経験から学ぶ力」を身につけるには?

社会人に必要な「経験から学ぶ力」を身につけるには?

社会人に必要な力とは?

多くの社会人は、誰も正解や解き方を知らない問題に日々直面しています。経験しないとわからないことも多く、実体験から上手に学ぶ力が必要です。そうした力を持つ人材を育成しようと、社会人向け学習ツールの研究が行われています。例えば病院看護の現場では、患者や同僚との人間関係に悩みを抱える人が多く見られます。経験を積めば問題を上手に乗り越えられますが、新人など働き始めて間もない看護師は悩み続けてしまいがちです。

悩みを言葉で分析する

効果的な学習方法のひとつが、悩みや問題をさまざまな角度から掘り下げて自問自答することです。すると自分や相手が言葉には出していないものの、無自覚に絶対視している信念が明らかになります。心理学などでは、信念が対立している相手とは衝突が生まれやすくなると考えられており、対立の原因を言語化して客観視すれば、解決のヒントを見つけやすくなります。
自問自答する訓練が病院看護の現場で実践された例です。無自覚な信念の言語化には、想像力が求められます。そこで「汎化(はんか)質問」と呼ばれる、あらゆる場面に当てはめることができる一般的な質問集を使い、「自分の主張は何か」、「対立する意見を持つ人はなぜそう思っているのか」など約60個の質問に答えていきます。この訓練で重要視されているのは、答えにくい汎化質問を見つけ出すことです。答えにくい質問はこれまで自分自身が考えたことのない内容である可能性が高く、その質問に意識的に向き合うことで想像力が向上するのです。

自問自答の質を上げる

汎化質問に慣れたら、次は他人と自由にディスカッションをします。相手から意外な内容を問われたときに、汎化質問のときと同じように、自分が無意識に避けてきた質問に気づくでしょう。ディスカッションをくり返すと自問自答の質も上がり、実体験を掘り下げて学ぶ力が身についていきます。こうした思考の訓練は、けんかの解決、異文化理解、心理カウンセリングなどにも役立つはずです。

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和歌山大学 社会インフォマティクス学環  教授 松田 憲幸 先生

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メッセージ

ひとつでもいいので、今まで経験してこなかったような新しいことにチャレンジしてほしいです。人はどうしても同じ物事のくり返しを楽に感じて、挑戦を避けてしまう傾向があると思います。私自身、若い頃に楽な場所に留まらず挑戦する勇気を持てていたら、と何度も考えたことがあります。若いうちにさまざまな経験をしておくと、自分の常識が通用しない世界を知ることができ、想像力が広がります。挑戦をして学んだことは大学入学後もあなたの力になるはずなので、勇気を持って一歩踏み出してほしいです。

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和歌山大学は未来を託そうとする若者、保護者のみなさんの願いを受けとめ、若者とともに希望ある未来を創り出したいと決意しています。
新たな学びの場・新たな生活の場へ、期待とともに不安もあると思いますが、国立大学の強みは、学生数に対して教員数が多く、学生と先生の"つながり"が強固なことです。なかでも和歌山大学は、小規模クラス授業や対話的授業を重視するなどきめ細やかな教育と、行き届いた学生生活支援の体制を整えています。そして、卒業後の進路・就職を拓くキャリア・サポートには定評があります。