これからのデジタルコンテンツ産業のビジネスモデル
変化したメディアと通信業
新聞を考えればわかりますが、インターネット以前のメディアは、メディア(新聞紙)とコンテンツ(記事)が離れることはありませんでした。デジタル化とインターネットの出現によって、今はこの2つが遊離しました。コンテンツを運ぶものの代表は通信です。通信業は本来、情報をそのまま次へ伝えるという意味で「土管業」と呼ばれます。その「土管」は電話からデータ通信へ、そして3GからLTEへと、変わってきました。
土管業の場合、全世帯が定額契約すれば、売り上げの上限は決まってしまいます。そこで、土管業だけではだめだと、通信会社が「中身」を扱うようになってきました。しかし通信会社が映画などを作るのは大変なので、権利を扱うというビジネスが発生します。コンテンツ産業はいわば権利の売買ビジネスなのです。
次世代のテレビ
映像を見る装置の方も変わります。次世代テレビは、テレビ番組だけでなく、映像全般を映す装置になるでしょう。今のテレビ番組は、メニューの一つになります。YouTubeなどいろいろな映像が次世代テレビで見られるようになると、従来のテレビ番組は今よりもっと見られなくなるかもしれません。視聴の主導権はユーザーが握り、見たいときに見たい番組を見るようになるでしょう。一方、視聴のデータは分析され、趣味などの傾向を通信会社に知られるようになります。広告は個人向けの「個告」へと変化し、CMはユーザーに合ったものが個々に映し出されるようになるでしょう。
新しいビジネスモデルは
メディア産業は土管業から、いかにユーザーにフィットした情報を提供でき、そこにさまざまな魅力的なコンテンツを乗せられるかというプラットフォームビジネスに変わっています。しかも主導権はユーザーにあります。そういった時代に勝ち残れるのは、データを合法的に得て確保し、意味のあるものにできる企業です。それを握れた企業は勝ち残るでしょう。具体的にどのようなビジネスになるかを考えるのはあなたの世代です。
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先生情報 / 大学情報
明治大学 国際日本学部 国際日本学科 教授 長谷川 文雄 先生
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