国際経営する企業にとっての課題「グローカリゼーション」とは
「郷に入っては、郷に従え」
海外旅行に行くと、いろいろなことが変わります。例えば、言語、食べもの、通貨、価値、生活スタイルなどです。海外旅行に行っているときは、それらに対応しなくてはいけません。同じように、企業が国境を越えるときも、現地のやり方に対処しなくてはいけません。現地の人を雇うなら現地の法律に従わなくてはいけませんし、給料の払い方も同様です。つまり「郷に入っては、郷に従え」の考え方です。英語では「ローカリゼーション」と言います。
「郷に従わない」ことも必要
一方、国際経営のもう一つの考え方に「グローバリゼーション」があります。これは簡単にいうと自国のやり方をできるだけ変えずに国境を越えるということです。日本の自動車産業が世界的に高い競争力を保っているのは、日本のやり方が世界レベルで競争力を持っているからです。
つまり、現地に適応すると同時に自国のやり方を通すという、相反する課題をクリアしなくてはならないのです。これを「グローカリゼーション」と言います。自国のやり方を持ち込むには、現地の人にその方法を理解してもらう大変さがあります。企業はこうしたさまざまなメリットとデメリットをてんびんにかけながら経営していかなくてはいけません。国際化が成功している企業は、その努力を地道に行っています。
文化人類学の手法で企業を研究
このような国際経営を、文化人類学の手法を応用して追究する研究が行われています。文化人類学は少数民族の宗教や文学、価値観などの文化的な事象を研究することから始まった学問ですが、徐々に領域が広がり、例えば「日本の現代社会」なども研究対象になってきました。そして現在では、経済活動の中心である企業も研究対象となっています。
もちろん、文化人類学の手法がそのまま国際経営論に当てはめられるわけではなく、そこにはさまざまなチャレンジが必要ですが、従来にはないダイナミックな研究ができるのではと期待されています。
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先生情報 / 大学情報
明治大学 経営学部 経営学科 准教授 鷲見 淳 先生
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