ネット・メディアを活用すれば、社会が変えられるかも?
飛行機事故を最初に報じたTwitter
2009年1月、エンジンが停止した旅客機がアメリカNY州のハドソン川に不時着しました。幸い乗員乗客は全員無事に救出され、「ハドソン川の奇跡」と呼ばれています。この時、テレビニュースよりも早く事故を世界へ知らせたのは、川に浮かぶ飛行機をiPhoneで撮影し、Twitterに投稿した一般人だったのです。これが、ネット上で人と人とのつながりをつくるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のメディアとしての可能性に、多くの人々が気づくきっかけとなりました。
ネット環境を大きく変えた「クラウド」
かつてインターネットが普及しはじめた時には、メールのやりとりやWebサイトの情報を見ることくらいしかできませんでした。それがインターネットを経由して、サーバーやアプリケーションなどの大量の情報を蓄積し、共用できる「クラウドコンピューティング」が登場すると、SNSで多くの人とつながり、携帯電話やスマートフォンから動画を投稿したり、ブログで情報を発信したりと、アクティブな使い方ができるようになったのです。特にアメリカでは、ジャーナリストが新聞に掲載できなかった記事をブログで発表し、社会的な議論を広める論壇のような役割を果たしました。
ネット・メディアの活用で社会が変わる?
日本でも東日本大震災で、道路・通信網・行政システムのすべてが機能しなくなった時、孤立した避難者の様子を外部に伝えたのはTwitterでした。こうした情報を伝えることができないと生死に関わるということで、その後、国や地方自治体も公式アカウントを持つようになりました。また、福島第一原発事故のあと、SNSの呼びかけで、原発の反対デモに十万人もの人が集まるまでになったのです。
このようにSNSなどのネット・メディアを使うことで、身近な社会問題を提起し広げていけば、少しずつ世の中を変えていくことができるかもしれません。
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静岡文化芸術大学 文化政策学部 文化政策学科 教授 野村 卓志 先生
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