食わず嫌いをなくそう! それが異文化理解の第一歩
広がる世界、狭くなる「私」
大きな変動が起きつつある21世紀を生き抜くには、国家や社会の枠組、「文系vs理系」といった見方など、旧世紀(20世紀)の見方を変えなければならないでしょう。海外で起きた事件が普段の食卓に大きな影響を与える時代です。文化人類学の視野を「宇宙」というフィールドに広げる理由もここにあります。
一方で、インターネットや衛星通信技術の発展により、いつでも誰でも自宅に居ながら、世界中の膨大な情報を得られるようになりました。しかし、本当に自分にとって有意義な情報が手に入っているでしょうか。ネットのおかげで流れ込む洪水のような情報は、かえって個人の視野を狭めているかもしれないのです。なぜなら、「自分のほしい情報を検索して選択できる」ということは、「自分が興味のある情報しかゲットできない」という事態も招くからです。
メガヒット曲が出なくなった理由
例えば音楽をダウンロードで買うようになってから、メガヒット曲は出にくくなりました。自分の好きなジャンルの曲だけを検索し、そのほかのジャンルをまったく聴かない傾向があります。テレビかラジオしかメディアがなかった時代は、一方的に情報を受け取るしかなかった代わりに、流れてくるいろいろなジャンルの曲に出逢うチャンスがありました。つまり、自分で選べないからこそ、期せずして自分の守備範囲以外の「異文化」「世界」に触れる機会があったといえます。
異文化のフィールドに五感を駆使して飛び込もう
文化人類学では、自分たちとは違う異文化を生で体験し、肌で感じることが重要視されます。海外では、日本人が理解しがたい出来事に出逢います。そんな時、「彼らとはわかり合えない!」と決め付ける前に、異文化がわからないものであるからこそ自分たちのやり方が本当にいいのかどうかから考え、相手のフィールドに飛び込む必要があります。新しいフィールドに飛び込んで自分を広げ、体と頭をフルに使って「なぜだろう」と考え続ける姿勢が、深い異文化理解・共存につながるのです。
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神戸大学 国際人間科学部 グローバル文化学科 教授 岡田 浩樹 先生
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