イスラームは本当に「怖い」のか?
「怖い」以外のイスラームの姿を知る
日本では、テロや女性差別などマイナスイメージを持たれがちなイスラーム(イスラム教)ですが、中東諸国ではそれ以外の顔を見ることができます。例えば、貧困家庭への支援、教育を受けられない人たちのために無料の学校をつくるなど、慈善的な社会奉仕がイスラームの教えに沿った「世直し運動」として行われています。イスラーム主義と呼ばれる潮流がその役割を果たすことも多いです。
「危ない」「怖い」だけでないイスラームの実態を知るための研究は、長く続けられています。イスラーム主義運動の中心地のひとつであるエジプトや活動拠点のある国々に行き、現地調査やアラビア語の文献分析といった手法で、その実態を探っています。
「世直し」を目指すイスラーム
昔はイスラーム教徒の礼拝堂であるモスクを活動拠点とするウラマー(イスラーム法学者)が信徒を導いていましたが、今では近代的教育を受けた知的エリートの役割も重要です。また、ムスリム同胞団はエジプト発祥ですが、中東・イスラーム諸国に多くの支部を持ってます。それらを観察することで時代に適応するイスラーム的改革の実態を理解できるようになると言えます。イスラーム主義運動に参加する女性も多く見られます。
異文化理解・多文化共生にも結びつく
イスラームには多面性があり、イスラームの教えの実践形態も多様です。インターネットやSNSなどのメディアを通して、よりわかりやすいイスラームを広めている人たちもいます。彼らの考え方の一端を知ることができれば、それは異文化理解の出発点となります。日本人にとって縁遠いと考えられているイスラームを知る方法を手に入れれば、それはほかの文化や宗教を知る際にも生かせます。私たちにとって、イスラームは異文化理解の最適な練習問題とも言えます。さまざまな異文化に関する理解を深めることは、多文化共生への道標となるでしょう。
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