思春期の親子関係を良好にするには?
思春期の親子関係
小学校高学年頃から子どもは思春期を迎え、少しずつ親離れをしていきます。親子関係が大きく変化していく時期のため、保護者が従来の関わり方を続けていると親子げんかが起きたり、仲が悪くなってしまったりする場合があります。幼少期とは異なり、思春期からは子どもから一歩離れて見守るような関わり方が保護者に求められるようになるのです。
保護者に求められる変化
家族心理学の研究によって、思春期の親子関係を良好なものにするには、まず保護者が変わることが大切だとわかってきました。特に日本では「高校生までは子ども」といった考えが保護者たちに浸透しています。そのため思春期を迎えた子どもについ口出ししてしまい、親子関係が悪化するケースが多く見られます。例えば、まだ宿題をやっていない子どもに「早く宿題をやりなさい」と保護者が声をかけ、子どもが機嫌を悪くするなどの事例です。こうした問題を回避するためには、心理的な距離をとることが重要です。思春期の親子を対象にした研究からは、口を出したい場面で我慢をするなど保護者が子どもの自主性に任せて見守ったほうが、関係がよくなることが明らかになりました。
また、親子関係は子どもの自己開示にも影響を与えます。自己開示とは、学校での悩みなどをはじめ、自分について周囲に打ち明けることです。良好な親子関係が形成されていれば子どもは積極的に保護者に相談するため、精神的にも健康になる傾向が見られます。
保護者支援の重要性
思春期の親子関係に焦点を当てた子育て支援は、日本ではまだあまり進んでいません。しかし思春期の子どもを持つ保護者の中にも悩みを抱えている人はたくさんいるため、家族心理学の研究結果を活用した子育て支援が始まりました。一部の学校や地域では、専門家が保護者向けに心理的距離のとり方を教えたり、親子関係に関する調査を進めたりしています。子育てに悩む保護者を支えるために、継続的な取り組みや研究が求められています。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。