「現実」と「空想の世界」って分けられるの? ~その曖昧な境界線~

「現実」と「空想の世界」って分けられるの? ~その曖昧な境界線~

私たちとキャラクターは「馴染みの関係」?

あなたは友だちを天然系・お笑い系・ツンデレなどと、「キャラ化」していませんか? キャラ化することで、お互いに付き合いやすくなり、やがて各自がそのキャラを演じるようになります。一人ひとりの登場人物をキャラとして分類しているアニメやマンガのあり方が、現実の人間関係にも影響を与えているのです。また、アニメやマンガのキャラクターの熱烈なファンの中には、空想のキャラクターを実在する人物のようにとらえる感受性が育まれていたりもします。「現実」を生きている私たちとアニメやマンガなど「フィクション」の中のキャラクターは、「馴染みの関係」を築いているのです。

空想が現実を誘導する?

実際、「現実」と「フィクション(空想の世界)」の境界は、とても曖昧です。あなたもアニメやマンガなどを見て、さまざまな情報を得ながら、「こんなキャンパスライフを楽しんで……」「こんな恋愛をして……」と自分の人生を想像しています。フィクションが、現実の自分の価値観や考え方を誘導しているのです。ですから、アニメやマンガなどのポップカルチャーに触れて、「なぜ好きなのか」「なぜ共感してしまうのか」を追究していくことで、自分にとって他人事ではないものが見つかり、現実と空想の世界が地続きであることに気づくことができます。

声優がいざなう、新しい文学体験

アニメやマンガと同じように、小説などの文学作品もフィクションです。もし例えば、アニメの声優が文学作品を朗読すると、どのような効果が生じるのでしょうか……。声優の声質や録音の技術などによって、聴き手は声の主の存在をとても身近に感じ、聴覚の情報を触覚的に感じるということが起こり得るのです。文学作品を受け取るというよりも、誰が私にどう伝えようとしているかという「コミュニケーション」の成立を強く意識させられるようになります。声の表現によって、文学の体験がこれまでとまったく違うものになり、文学の新たな入り口が開かれていくのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

椙山女学園大学 教育学部 子ども発達学科 教授 広瀬 正浩 先生

椙山女学園大学 教育学部 子ども発達学科 教授 広瀬 正浩 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

文学、表現文化学

メッセージ

小説など文学作品を読んだり、アニメやマンガを見たりすることは、とても楽しいことです。ときには感動して泣くこともあるかもしれません。しかし、所詮は「作り物」「フィクション」であるのに、なぜ私たちは小説やアニメによって、心を動かされるのでしょうか。それはきっとフィクションが、私たちの生きている現代社会や私たちの思想、価値観と無関係に成り立っているわけではないからです。そんなフィクションの研究を通じて、あなたも私たち自身のあり方について考えてみませんか。

先生への質問

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椙山女学園大学に関心を持ったあなたは

「わたしは、強く優しい、輝く先生になる。」
変化する教育現場、多様化する子どもたちに、強くやさしく、輝く先生を。

子ども発達学科では、長期的な視野と多様な視点で子どもたちを見守る教育者・保育者の養成を目指し、保育と幼児教育、幼児教育と小・中・高等学校教育の垣根を越えた複数の資格・免許を取得できる環境を用意。徹底した少人数教育と個別指導、椙山女学園の総合力を生かした多彩な実習プログラムにより、優れた指導力と豊かな人間性を育みます。