平和な国づくりの道筋を考える「平和学」

平和な国づくりの道筋を考える「平和学」

南スーダン共和国の平和構築を支援

アフリカのほぼ中央にある南スーダン共和国は、長年の内戦を経て2011年にスーダン共和国から分離独立して成立した国です。内戦による傷を癒やし、平和な国に生まれ変わらせるため、国連決議に基づき、世界各国が人材や資金を援助しており、日本も、自衛隊やJICA(国際協力機構)の派遣に加え、大使館もいち早く設け、外交面での支援も行ってきました。しかし、2013年12月のクーデターで再び政情が不安定になり、支援活動も停滞しています。

平和構築は、国際社会の一員としての責任

南スーダンのように、日本から遠いところの紛争や国づくりは、多くの日本人にとって「他人事」のように思えるでしょう。経済的、政治的につながりが少ない地域や国の場合、日本が支援することに疑問を持つ人も少なくありません。しかし、今や国際社会の一員として、相手がどこの国であれ、無関心でいることは許されなくなってきました。
世界の国々は、「世界平和」という価値観を共有しており、その理念を実現するための組織である国連にも加盟しています。したがって、平和構築のための支援が必要ならば、それを行うことは、当然の責務とみなされているのです。

優れた知見を集め平和構築のプロセスを磨く

ただし、平和構築の活動は、純粋な人道支援的な活動ばかりではありません。支援する側の政治的な事情が関係することも多く、したがって、そのプロセスも一様ではありません。支援する側、される側の事情が複雑に絡んだ結果、人的、物的資源を大量に投入しても、目に見える成果が得られないケースも多々あります。
このように、平和な国づくりに向けたプロセスは、気が遠くなるような活動です。しかし、それでも、世界各地で支援活動が展開される中で、多くの成果も得られています。そうした活動から優れた知見を集め、これからの平和構築の活動に反映させることで、より多くの活動を成功へと導くことが重要だと言えます。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東京外国語大学 国際社会学部 国際社会学科 教授 篠田 英朗 先生

東京外国語大学 国際社会学部 国際社会学科 教授 篠田 英朗 先生

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平和学、国際関係学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私は、国際政治の分野で平和構築の問題を研究しています。平和構築とは、戦争が起こった社会をどのようにして平和な社会に作り変えていくかを考える分野です。国連や政府機関、そのほかの組織も大変大きな努力を払っていますが、世界から戦争はなくなりません。ですから、改善の道筋を考えることは極めて重要で、とてもやりがいがある領域です。高校生の時は、国際情勢に触れる機会もあまりないかもしれませんが、平和構築の問題はとてもやりがいのある分野だと思います。

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