大豆イソフラボンの恩恵を受けられない人がいる?
女性の体調維持に効果的な大豆イソフラボン
タンパク質やカルシウム、鉄、カリウムなどの栄養素を多く含む食品として、大豆や大豆加工食品が健康にいいという情報はすっかり定着しています。特に注目されているのは、大豆イソフラボンという成分です。女性ホルモンに似た構造を持ち、ほてりやのぼせといった更年期の不調、月経前の不快、骨密度の低下など、ホルモンバランスによって生じる女性の体調不良を改善する食物成分として期待されています。
大豆イソフラボンパワーの源「エクオール」
摂取された大豆イソフラボンは、体内で特定の腸内細菌の作用により「エクオール」という代謝物になります。このエクオールこそが、女性ホルモンのエストロゲンと似た構造を持っており、エストロゲン受容体にエクオールがはまり込み、肌や骨、血管や脳などを守る作用を発揮するのです。ところが、この女性にうれしい効用を上手に利用できる人と、できない人がいることがわかってきました。自らの腸内で、摂取した大豆イソフラボンでエクオールを作れる人と、作れない人がいるのです。
エクオール産生者の割合と食習慣の相関を考える
エクオールを作れる日本人の割合は5割程度ですが、中高年の女性に比べ平均年齢20歳の女性ではたったの2割と研究データは示しています。なぜ作れない人がいるのか? そこには日常の食生活が大きく影響していると考えられています。納豆や豆腐など、昔から大豆を食べる習慣のある地域は、そうでない地域に比べエクオールが作れる人の割合が高いという傾向があります。ここ10年で魚より肉の摂取量が増えているという統計資料もあり、そうした食生活の欧米化が、体に反映されてきていることは否めません。どうすればエクオールを作れない人が作れるようになり、大豆の恩恵を受けられるようになるのかが、今後の研究に課せられた大きなテーマです。
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