森の学校をつくる~震災復興とコミュニティデザイン~
子どもたちの心を癒やした森での活動
東日本大震災の直後、甚大な被害を受けた宮城県東松島市の子どもたちを長野県の「アファンの森」に招待するプロジェクトが立ち上がりました。この活動は、作家のC.W.ニコル氏が理事長を務めるアファンの森財団が再生した森で、木登りや川遊びなどの自然プログラムを体験するもので、子どもたちは森の中で笑顔と元気を取り戻しました。
この活動の中で、市の教育委員会が主体となり、津波で流された小学校を高台移転し、地域の森を生かした「森の学校」として再建しようというプロジェクトがスタートしました。東松島市、アファンの森財団、大学の研究室などが、真の創造的復興となる「森の学校」実現に向け、力を合わせることになったのです。
ワークショップを重ねてコンセプトを決定
持続可能なまちづくりを進める上で最も重要なことは、自治体や外部の人からの押しつけでなく、地域の人たちが自分自身で道を決定することです。学校というのは、地域のコミュニティの中心となる場所です。プロジェクトがスタートし、どのような学校にするのか、子どもたちも交えて何度もワークショップが開かれました。その結果、コンセプトは学校の裏手にある里山を生かし、里山文化を学べる「自然とともに生きる学校」、また、地域の多様な人材が支える「地域とともに生きる学校」をめざすことに決まりました。
自然を生かし、未来の地域拠点となる学校へ
森の学校は、2018年の完成をめざし、具体的な設計段階に入っています。炭焼きや薪づくり、キノコ栽培など、森を利用した多様な教育プログラムも考えられています。ツリーハウスクリエイターが、子どもたちと一緒につくったツリーハウスも完成しています。この学校は、公立小学校であり、完成すれば、「こんな素敵な小学校ができるなら、うちの地域もやってみよう」と各地域に広がっていくことが期待できます。美しい地域の自然を生かし、地域の拠点となる森の学校は、未来への新たな教育を創造するソーシャルイノベーションとなっていくでしょう。
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