スポーツを「科学の目」で見ると、見えてくるもの
「頑張る」だけでは一流にはなれない
どんなスポーツ種目でも、一生懸命に練習することは大切です。ただ、あなたが、将来プロになるレベルまで技術を伸ばしたいと考えているのなら、単に「頑張る」だけでは、夢の実現は難しいかもしれません。
国内スポーツの競技力向上をめざし、「国立スポーツ科学センター」がオープンしたことからもわかるように、国際レベルのトップアスリートには、スポーツ科学に基づいたトレーニングや動作制御などが必要不可欠なのです。
スポーツ科学の役割とは?
スポーツ科学の中でも、競技者の動作を分析し、力学的に研究するジャンルが「バイオメカニクス」です。例えばサッカーなら、ボールを蹴る動作での筋力や関節の動きを分析し、運動エネルギーをより効率的にボールに伝えるための、姿勢や蹴り方などを研究します。
また、選手の実力を引き出すため、トレーニング方法を研究するのもスポーツ科学の重要な役割です。試合会場が標高1000mを越す高地だった、2010年サッカーのワールドカップ南アフリカ大会の前には、高地でも運動能力が高まるようにと、酸素の薄い場所でも人間の赤血球が増える現象を重視した、科学的なトレーニングが実施されました。
一流サッカープレーヤーの原点は遊び場にある
一流のプロサッカー選手と、アマチュア学生選手、そして、ボール蹴り遊びしか知らない子どもにインサイドキックをやってもらい、動作を分析すると、一流選手と、サッカーの基礎も知らないはずの子どもは、ほぼ同じ体の使い方をしていることがわかりました。
また、ある調査によると、サッカーで「遊んだ」時間が長い選手ほど、プロ入りできる確率が高いことも明らかになりました。つまり「一流」をめざすための素地を作るのが、のびのびと楽しめる子ども時代の遊び場だったということです。こうした意外な事実を論理的に研究できるのも、スポーツ科学の面白さなのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
福岡大学 スポーツ科学部 スポーツ科学科 教授 布目 寛幸 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
スポーツ科学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?