その公共事業は本当に必要? 客観的な基準をもたらすミクロ経済学
公共事業は本当に何もかも無駄遣い?
私たちの社会の中で、道路、上下水道、学校などは、国や地方自治体が公共事業として建設や整備を行っています。こうしたインフラ(社会資本)や施設は私たちの生活に不可欠なものですが、それらの施策がどのような評価基準に基づいて行われているのかは、日本ではあいまいな部分が少なからずあります。世間では、公共事業はしばしば「無駄遣いだ」などと批判されがちなイメージがありますが、それが本当に無駄遣いなのかどうかは、感情論ではなく、より客観的な視点で判断されるべきなのです。
ミクロ経済学で公共事業を客観的に評価する
公共事業や都市計画の課題を評価する時には、「ミクロ経済学」に基づいた視点が大切になります。ミクロ経済学とは、家計(消費者)や企業(生産者)の経済活動の相互関係からなりたつ市場を分析して考える学問です。その建設事業にはいくら費用がかかるか、どのように投資すればもっとも費用に対して効果(便益)が高まるかを、客観的な視点から検討します。その際には、環境にかかる負担、防災などの安全面、そして、そもそも人々は何に価値を見出して行動するのかなど、見えない価値を含めた多様な評価軸を考え合わせる必要があります。
経済活動は、貴重な多数決意見が現れる場
経済活動が反映される市場は、実は「人々がそれぞれしたいと思う行動をしているのが反映される」という貴重な多数決意見を得られる場でもあります。公共事業について政府や地方自治体が会議で話し合う時、そうした市場の情報に基づく評価基準をおざなりにすることは賢明ではありません。公共事業は、人々の生活環境をよりよくしていくためのインフラや施設を造る事業であるべきだからです。2020年の東京オリンピックの開催を控え、日本国内ではこれからさまざまな新しい公共事業の計画が実施されようとしています。それらを将来にわたって有効に活用される施設やインフラにするためには、客観的な評価に基づく冷静な判断が必要になるでしょう。
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