「カンカンミンガク」で学際的な「日本語学」を学ぼう!

「カンカンミンガク」で学際的な「日本語学」を学ぼう!

限界集落の危機言語を調査し言語文化財として記録

世界の言語の数は、約7,000語と言われていますが、その約半数は、6,000人以下しか話者がいない少数民族の言語です。そのうち約450の言語が消滅の危機に瀕しています。
日本に目を向けると、限界集落と呼ばれている集落の地域言語(方言)が「危機言語」と言われる言語です。言語が消滅するということは、文化の消滅を意味します。限界集落の言語と文化を「言語文化財」として記録・保存し、後世に残しておく必要があります。記録・保存のほかに地域の活性化の視点も必要です。

「カンカンミンガク」(館・官・民・学)の発想

どうすれば言語文化財としての地域言語(方言)を地域の活性化に役立てることができるでしょうか? 大学の教員と学生だけでは限界があり、地域と連携する必要があります。そこで考えられたのが「カンカンミンガク」(館・官・民・学)という発想です。博物館の「館」、行政の「官」、地域住民(県民・市民・NPO)の「民」、ガクは大学だけではなく、小学校・中学校・高等学校も含めた「学」です。これらが連携して、言語文化財の記録・保存の活動を行い、その言語文化財を活用して地域の活性化に取り組めば、次世代に継承していくことも可能になります。

「書を持てよ、フィールドへ出よう」

言語文化財を文献で学ぶだけでは、十分ではありません。その言語が、実際にどのような音なのか、形なのか、周囲の文化環境、つまり自然環境と社会環境と人との関わりを、自分の眼で、耳で、確かめることが大切です。
まず、その地域に出向き、住民に言語について聞きます。これを「聞き取り調査」と言いますが、このようなフィールドワークから始めます。そして、きちんと記録・保存してから、活用のあり方を考えていきます。
かの劇作家、寺山修司さんは「書を捨てよ、町へ出よう」と言いましたが、「書を持てよ、フィールドへ出よう」、これが言語文化財を学ぶ極意なのです。

参考資料

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先生情報 / 大学情報

高知県立大学 文化学部 文化学科 教授 橋尾 直和 先生

高知県立大学 文化学部 文化学科 教授 橋尾 直和 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

日本語学、方言学、社会言語学

先生が目指すSDGs

メッセージ

日本語学研究室では、日本語の音声・音韻、語彙(ごい)、文法、文字・表記、敬語などの体系と構造や日本語史だけではなく、役割語やオノマトペ、比喩表現なども学びます。類義語分析を行う意味論や語用論、対照言語学、方言学も、日本語学の射程範囲に入ります。言語学と文献学をミックスした分野と言えるでしょう。
「日本語のなぜ、不思議」を解明したい人、ことばと社会との関わりについて学びたい人には、「日本語学」「社会言語学」をお勧めします。

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高知県立大学は、文化学部、看護学部、社会福祉学部、健康栄養学部の4学部で構成しています。高知県は全国と比較して、高齢化で10年、人口減少で15年も先行しています。少子高齢化社会や南海トラフ地震対策など山積する課題を乗り越えて、未来の社会をどう形成するかに、学生と教職員は真剣に取り組んでいます。全学生が地域で活動し、地域の人々とともに学びあう教育に力を入れており、卒業後には、学部で身につけた専門知識を生かして地域で活躍できる人材となることをめざしています。