日本の法律は、外国ともつながっている!?
憲法が規定しているものとは
司法は法令の規定を適用して紛争を解決します。民法が市民と市民との紛争を解決するためのルールであるのに対し、憲法は国家や公共団体と市民との間の紛争を解決するためのルールです。
憲法学というと、どんなイメージがありますか? 裁判所には違憲審査権(法律、命令、規則、処分が憲法に違反するか否かを審査する権限)が与えられているので、憲法というのは裁判規範でもあります。憲法学は、憲法の規定の意味内容をどう理解して、どのように憲法に関する紛争を解決するかを研究する学問分野です。
法律の仕組みはどこから来たか
法令を学ぶためには、まずその分野の判例(先例となる判決)と学説(学者の見解)を理解することが柱になります。そこには日本だけでなく外国の法律に対する考え方も含まれます。歴史的には古代ローマ法が原点です。それを受け継いだのがドイツ法、フランス法で、日本は明治に入って最初はフランス法を、その後ドイツ法を学び、法律を整備しました。
現代の日本で主に研究対象とされるのは、憲法でも民法でもドイツ法です。そして膨大な判例があるのは、やはりアメリカです。どの国でも同じような問題は起こりえるので、判例は貴重な参考資料となります。自国に判例がなくても外国にある場合もあり、それは「重要な手がかり」となるのです。
弁護士も専門性や国際性が必要になる
アメリカは連邦制を取っているので、裁判所組織は連邦政府だけでなく50の州それぞれが持っていて、司法関係者も膨大な数になります。もちろん弁護士もたくさんいます。日本では弁護士はみんな法廷に立ちますが、アメリカにはデスクワークが中心の弁護士もいます。判例が多い国なので、ある問題について問われたら「判例はこうなっています」と答えるのも弁護士の重要な仕事なのです。
日本では日常的な事件を扱う民事裁判が中心でしたが、これからは憲法訴訟を含む公法関係の事件や国際的な事件も増えると考えられます。そうなれば弁護士にも、より高い専門性や国際性が求められるようになるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
高知県立大学 文化学部 文化学科 教授 岩倉 秀樹 先生
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憲法学、アメリカ憲法先生への質問
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