「管理栄養士」と「歯科医師」の連携によってできることとは?
食べ物を最初に受け入れるのは「歯」
食べ物を最初に受け止める歯を丈夫にするためには、ブラッシングで歯を清潔に保つだけでなく、食べ物の質によって、栄養面からもサポートしていくことが必要と考えられています。歯は骨に似た組織なので、カルシウムやビタミンDといった骨を作る栄養素が必要ですし、歯周病では、歯肉を作るコラーゲンの合成に必要なビタミンCなどが歯に良い栄養素と言われます。しかし、実際には、歯と栄養に関しては、わかっていないことが多いのです。
腸内細菌と口腔の細菌は影響し合っている
昔から、甘い物が歯に悪いことはいわれてきました。なかでもブドウ糖は、むし歯菌や歯周病菌の栄養になり、代謝されて乳酸になります。この酸が歯や骨を溶かす原因となるのです。菌が増えるとバイオフィルム(菌の膜)を作って、より酸を放出するようになり、むし歯となってしまいます。
腸内細菌という言葉をよく耳にすると思いますが、最近では実は腸内細菌は、ヒトの体を使い、口腔細菌とコンタクトを取り合っていると考えられています。つまり、腸内細菌のバランスが悪くなると、歯にも悪い細菌が増えやすくなるということです。食生活に注意し、腸を整えることは、長期的に歯を守ることにもつながるのです。
社会が求めている、栄養と歯の職域連携
2010年に、歯科医師の団体と栄養士の団体が、「健康づくりのための食育推進共同宣言」を行いました。国民のために、歯のケアと食生活の改善を協力して推進していこうという運動です。また、国も現在、病院内の栄養サポートチーム(NST)に歯科医師の参入を奨励しています。これにともない、管理栄養士も口腔ケアに積極的に参加していく必要性が高まっています。
個食や偏食、むし歯などの問題から、「食育」の大切さが指摘されていますが、それに加えて、食と栄養の専門家である管理栄養士が、食べることを通じて、消化器内科の医師はもちろん、歯科医師たちと連携を強めていく取り組みも始まっているのです。
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先生情報 / 大学情報
高知県立大学 健康栄養学部 健康栄養学科 准教授 竹井 悠一郎 先生
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