国語教育では、何を教えればいいのか?
教科書「で」教えることが大切
小学校の国語の授業では、教科書「を」教えるのではなく、教科書「で」教えることが大切だと言われます。
教科書は題材であり、その内容を教えるだけが国語教育の目的ではありません。題材が文学であれば、内容に加えて、登場人物の人間関係、作品構造、何より読むことの楽しさを同時に教えていくことが大切です。
成長に合わせて、授業づくりを変える
低学年では、主人公が悲しいのであれば悲しく、楽しいのであれば楽しくなること、つまり登場人物と自分を重ね合わせる「同化」を教えます。少し大きくなって中学年になれば、主人公の思いに対して自分はどう思うかといった考え方を養います。そして高学年になれば、「生きるとは何か?」「友情とは何か?」といったテーマを考えます。こうした段階を経て、自分の考えを展開でき、友だちと議論ができる力を獲得できるようにするのです。そのためには、子どもの成長とそれぞれの段階の教育目標に合わせて、授業づくりを変えていく必要があります。
当たり前だと思うことを問い直す
国語の授業をする先生には、「当たり前だと思っていることを疑ってみる」という姿勢が求められます。例えば国語の授業は、登場人物の気持ちを問うことが当たり前だと思っていたことを、もう一度考えてみることもそのひとつです。またもっと広く、教育とはどのようなものかを考えてみることも重要です。先生が子どもたちにわかりやすく解説し伝達することが教育なのか、子どもたちが持っている能力を引き出していくのが教育なのかを考え直してみるのも大切です。そして、疑ってみる姿勢をずっと持ち続けることが必要です。常に立ち止まって問い直している先生の姿勢は、子どもたちにも伝わります。
算数を中心に取り組んでいた小学校が、ある程度以上には成績が伸びず、算数の学力を伸ばすのにも国語が重要だと考えるケースも増えています。国語教育の重要性が再認識されているのです。
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先生情報 / 大学情報
福山市立大学 教育学部 児童教育学科 教授 森 美智代 先生
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