食に関する産業を分析し、問題の解決法を探る「フードシステム論」
いろいろな人のおかげで成り立っている食生活
毎日食べている食事は、家庭で料理する人はもちろん、材料を生産する農業・漁業従事者、流通業者、加工業者、そして小売業者など、非常に多くの人たちの力によって支えられています。
特に近年、日本人が食べるもののおよそ半分は加工食品となり、外食の支出比率も高まっているので、「食」に関わる人や産業はますます多様になっています。生産から消費まで、食に関わるあらゆる産業を分析し、安定供給や安全をはじめとするさまざまな食料関連問題について研究するのが、「フードシステム論」という学問です。
コンビニのおにぎりは、フードシステムの「結晶」
コンビニの定番のおにぎりは、季節を問わず100円前後で売られていますが、実はこれはすごいことなのです。米も海苔も具に使われる鮭も、一年中生産できるものではありません。それでも、年間を通して同じ大きさ、同じ価格で提供できるのは、高度な食品製造・流通システムのおかげです。さらに、いろいろな新商品を作る開発力、衛生的で開けやすい包装技術、品切れさせない配送システムなど、コンビニのおにぎりには、多くの人々の努力と工夫が詰まっています。日本の優れたフードシステムの結晶とも言える商品なのです。
食の安全を守る仕組みを効果的に普及させるために
日本では、あらゆる飲食物の製造・販売段階での衛生管理が「食品衛生法」によって規制されています。また、アメリカで開発された食品の衛生管理の方式「HACCP」や、食品の流通経路を生産段階から最終消費段階まで追跡を可能にする「トレーサビリティ」など、食の安全を守る仕組みの導入が、食品関連事業者に求められています。
なぜか日本の場合、大がかりな設備投資を行わなければHACCPやトレーサビリティの導入は困難といった誤解が、食品業界にあるようです。資本力が乏しい中小事業者でも、食の安全対策を導入できるようにするにはどうすればいいのかを考えていくことも、フードシステム論の重要な研究テーマの1つです。
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先生情報 / 大学情報
福山市立大学 都市経営学部 都市経営学科 教授 清原 昭子 先生
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