なぜ北朝鮮は「核」を持つのか? 分断体制の朝鮮半島
独裁体制のもと継続的に核を開発
北朝鮮の核開発問題は、国際政治学においても重要なテーマです。核兵器の数や研究規模は公開されていませんが、憲法に「核保有国」という文言を明記しているように、有力な資源や経済力をもたない同国は、東アジアで生き残るための重要な戦略として核兵器開発を掲げています。
朝鮮労働党による独裁国家である北朝鮮では、3世代の指導者が継続的に核開発を推進してきました。金日成体制の頃から開発を始め、金正日体制では1990年代にミサイル、2000年代に核兵器の実験を開始し、金正恩氏が率いる現在は、太平洋をまたいだアメリカ大陸をも射程範囲に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)も保有しているとされています。
同じ民族が対立する朝鮮半島分裂の歴史
K-POPや韓国映画、グルメやコスメなど、韓国文化はますます日本人にも身近になっていますが、日本と国交のない北朝鮮についてはあまり知られていません。北朝鮮と韓国はもともと一つの国でしたが、1910年から1945年まで続いた日本による植民地統治の後、北からはソ連(現在のロシア)が、南からはアメリカが介入し、両国の支援のもと北朝鮮と韓国が誕生しました。その後、朝鮮戦争や米韓安全保障体制の確立、ソ連崩壊といった歴史の中で、北朝鮮は通常兵器よりもコストが低い核兵器開発に乗り出し、拡大した軍事力を外交手段とする一方、国際的な孤立を深めてきました。
日本が果たすべき国際的な役割
核兵器について実際に使用されるリスクだけでなく、情勢の不安定な北朝鮮が崩壊することで周辺国や国際テロ組織に拡散するリスクも懸念されています。この問題が東アジアのみならず世界的な脅威となっている現在、歴史・地理的に近しい存在である日本が果たすべき役割も小さくありません。拉致問題などは未解決ですが、長期的な平和構築という意味では国交正常化も見据えた外交が求められます。また日米安全保障条約の枠組みの中で動く日本にとっては、アメリカのトランプ大統領の動きも注視する必要があるでしょう。
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福山市立大学 都市経営学部 都市経営学科 准教授 松浦 正伸 先生
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