色や形はデザインの結果です。デザインの本質とは?
「デザイン」って何?
「デザイン」というと目に見える色や形、製品という形で存在するものを想像する人が多いかもしれません。しかし、それらはデザインの「結果」であってデザインそのものではありません。では、デザインとは何でしょうか?
壁に絵画を釘で固定する場合を考えてみてください。釘を打つためのハンマーがない場合、目の前にある石を使うかもしれません。この場合、使い手は、絵画を壁に固定するという目的と石の関係を認識して、石をハンマー代わりに使うというアイデアを思いついたのです。言い換えれば、目的を達成するためにインターフェイス(関係性)が立ち上がったということです。
デザインは関係から生まれる
デザインの背後には、このような「関係意識」があります。もちろん、石よりもハンマーの方が使い勝手がよいので高いレベルのインターフェイスです。つまり、目的との間により強いつながりがあるということです。
石やハンマーの形はデザインの結果に過ぎません。デザインの本質はプロセスであり相互作用なのです。デザイナーの創造力は、優れたインターフェイスを作ることに費やされています。
デザインの社会的意味を広めることも必要
ただ、この創造力は突然天から降ってくるひらめきではありません。根本にあるのは、「なぜ?」という疑問です。例えば、リンゴが落ちるのを見たとき、なぜと思うことが大切なのです。そこから万有引力を発見すれば科学者ですが、デザイナーは科学的な知見を生かしてよりよいプロセスを考えます。
デザイナーはデザインの勉強をしていればよいというわけではありません。社会にはさまざまな「関係」が潜んでいます。目に見えるものだけでなく、アイデアやルールなど見えないものもあります。それを発見してよりよい関係にするのがデザイナーなのです。しかし、一般の人はそうは考えていないことが、よりよい社会づくりの障害になっています。デザインの社会的意味を教え、広めていくことも必要なのです。
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先生情報 / 大学情報
山口大学 国際総合科学部 講師 クルッツ・クリスチャン 先生
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