世の中の技術を発展させるルーツは、「数学」だった!
計算のための数学、理論を作るための数学
中学・高校では、力や運動、波動に関する法則を学ぶと思います。例えば「フック(弾性)の法則」は、バネ定数(k)とバネに加える力(F)、バネの伸び・縮み(x)との間に「F=kx」という比例関係が成り立ちますが、これを数学的に考えたことはありますか? あらゆる物理法則には、それらを記述するための基礎方程式があり、それらに基づいた「微分方程式」を考えることが必要になります。微分方程式に対する理論を作ることが数学の大きな役割の一つです。
あらゆる物理現象を微分方程式で理解する
たくさんの種類の微分方程式がありますが、振動、波動などに関わる物理現象を扱う際は、「非線形微分方程式」が多く使われます。例えば、日本列島の近隣で強い地震が発生した場合、およそ何分後、どの地域に何メートルくらいの高波が到達するかが、すぐに報道されますが、あのシステムは、おそらく非線形微分方程式を基に作られた方程式に、震源の深さなどの数値を当てはめることで、必要な情報が算出できるようになっているものと思われます。「おそらく」「思われます」と述べたのは、理論を作る研究者と、それを何に応用するかを考える研究者とは、役割が異なるからです。
特殊関数などを駆使して、通常では解けない微分方程式を取り扱うのが、応用数学研究者の役割と言えます。
大学で学ぶ数学とその目的とは?
同じく「波」に関する方程式として、「シュレーディンガー方程式」があります。こちらは、原子や電子などのミクロな現象を取り扱う量子力学で用いられていて、複素数で記述するのが特徴です。複素数を用いると、波の位相と振幅を一つで表せて便利なのです。複素数を考える際には、三角関数のsinとcosと指数関数「e」をつなぐ「オイラーの公式」が非常に重要で、機械工学や電気・電子工学などの工学分野でも広く活用されています。
このように、大学に入ってから学ぶ高度な数学は、さまざまな分野の技術を発展させるための「ツール」だとも言えるでしょう。
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先生情報 / 大学情報
熊本大学 工学部 機械数理工学科 助教 中村 能久 先生
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