外国人とわかり合うために本当に必要なこと

外国人とわかり合うために本当に必要なこと

女子校出身者と共学校出身者

言葉を交わしただけで、女子校出身か共学校出身かがわかるとしたら不思議だと思いませんか。誰に、どのような話題を、どの程度まで話すか(自己開示)を調査したところ、共学校出身の女子に比べて女子校出身者の方がその程度が高かったのです。もともと女性の方が男性と比べて自己開示の程度は高いとされていますが、特に日本のように「男性性」の強い文化では、男女ともに異性が近くにいると、その目を意識して自己開示を調節するようになるのです。同じ日本に住む同世代の男性・女性であっても、それまで身を置いてきた環境によって、コミュニケーションのスタイルに違いが生じてくるのです。

近い国は文化的にも似ている?

社会心理学者のホフステードは、国による文化的相違を5つの指標から数量化しました。
それによると、日本人は「1.やや集団主義的、2.確実志向、3.上下関係の重視、4.男女の社会的役割分担が明確、5.物事を長期展望でとらえる」傾向にあることがわかります。では、近隣の韓国や中国も日本人と同様かと言えば、答えは「NO!」です。文化指標にもよりますが、日本と類似した特性を持っているのが、地理的には遠い欧州や中南米、あるいは中東の国々ということがままあるのです。

一を聞いて十を知る?

文化人類学者のホールは、文化によりメッセージの伝達のしかたに違いがあることを発見しました。すべてのことを言語化して伝えようとする欧米のような文化を「低コンテキスト文化」と呼び、日本人のように空気を読んだり、相手の思っていることを察したりと、言い表されたことよりコンテキストからメッセージを読み取るような文化を「高コンテキスト文化」と呼びました。「一を聞いて十を知る」という表現は日本人にはわかっても、欧米の文化では理解し難いことなのです。
異文化の相手とは簡単にわかり合えるとは思わず、でもいたずらに不安にならず、興味と関心、積極性を持って接することが異文化コミュニケーションの第一歩となるのではないでしょうか。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

椙山女学園大学 外国語学部 英語英米学科 ※2024年4月開設 教授 笠原 正秀 先生

椙山女学園大学 外国語学部 英語英米学科 ※2024年4月開設 教授 笠原 正秀 先生

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コミュニケーション学

メッセージ

外国人と接する機会の急増と同時に、日本人とは異なる考え方(価値観・信念・態度)やコミュニケーション・スタイルへの対応が求められる時代になりました。何事においても、自分たちのあり方が普通で正しいという考え方(エスノセントリズム)を前面に押し出しては異文化コミュニケーションはうまくいきません。自分の考えと違うからと排除するのではなく、逆にその違いに対して関心を寄せ、相手を理解しようとする姿勢を大切にしましょう。異文化の面白さ、人間のコミュニケーションの不思議について、ぜひ私と一緒に考えてみませんか。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
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椙山女学園大学に関心を持ったあなたは

「わたしは、語学力で、世界へ羽ばたく。」
英語を鍛え、英語で鍛える。語学力を武器に世界へ羽ばたく。

英語英米学科では、4年間の大学生活を通して徹底的に英語力を磨きます。「英語を鍛える。英語で鍛える。」をキーワードに、語学トレーニングはもちろん、All Englishで専門分野を学び、英語圏の文化・社会・歴史の深い理解をベースに高い異文化対応力を獲得。英語のプロフェッショナルとして活躍できるレベルの高度な言語運用能力と国際教養を身に付けます。