飛躍的な経済成長を遂げるアジア諸国の現在と未来
目を見張る経済成長のスピード
近年、中国、タイ、ミャンマーなどのアジア諸国は、飛躍的な経済成長を遂げました。こうした急成長ぶりは、世界に類を見ない状況です。例えば、タイでは所得が過去15年間で3倍、中国では8倍にまで伸びたと言われています。日本の経済も、これらの国々との密接な関わりの中で推移しています。では、こうしたアジア経済の急成長は、どのような経緯を経て生まれたのでしょうか?
アジアの経済成長の発火点は
アジア諸国の経済成長を語る上で大きな節目の一つとなったのが、2001年の中国のWTO(世界貿易機関)への加盟です。この加盟をきっかけに、世界中の投資家が「これから中国で貿易の自由化が促進され、経済は確実に成長する」と判断し、事実、中国はその通りの急成長を遂げたのです。
中国経済の好調な推移は、ほかのアジア諸国の経済にも好影響を与えました。日本など外資系の企業がアジア諸国に続々と進出して自社の工場を建設するなどしたことも、経済の好況を大きく後押ししました。しかし、こうしたアジア経済の急成長には、不安要素がまったくないとは言い切れません。ある日、突然バブルが弾けるように、経済危機が訪れる可能性があるかもしれないのです。
経済危機を避けるための仕組みの必要性
経済危機が起こるのを避けるには、経済成長をあきらめてしまうのがある意味一番確実な方法ですが、さすがにそういうわけにはいきません。しかし、国際的な経済システムの安定化を図ろうとする際、どの国にも適用できるようなまったく同じ規制を実施するのは難しいですし、そうした基準自体を決めることも困難です。現実には、各国が独自の経済政策を実施できるような余地をある程度持たせるようにした方がうまくいくと考えられています。その上で、どこかの国の経済に何らかの問題が生じた時に、地域全体で協力し合って危機に対処できるような国際的な仕組みの整備が、今後さらに必要となってくるでしょう。
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亜細亜大学 経済学部 経済学科 准教授 布田 功治 先生
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