あなたは、作られた流行や情報に踊らされてはいませんか?
ニーズや流行は意図的に作られている
あるファッションアイテムやスイーツなどが流行し、ブランド化する時、それらは人々の「こういうものが欲しい!」というニーズが先にあって流行しはじめるのではありません。ファッションなら衣料品メーカー、スイーツなら食品メーカーなどの企業が「こういうものを流行させて売りたい」と考える製品がまずあり、それをメディアが「これからはこれが流行ります!」と取り上げると、世間にその製品のマーケットが作られ、流行が生まれるのです。需要や流行は、実は作られている側面があります。
作られたニーズや流行が本当に現実化する
いったん企業やメディアが「これが流行る!」と言うと、人々は「そうか、これが流行るのか」と思い、ファッションやスイーツをこぞって手に入れようとします。かくして、本当にそれが流行することになり、ブランド化するのです。たとえ景気が悪くても「景気は上向いている」と言うのは、そう言われることで人々は景気がいいと思い、購買意欲が上がって、経済が活性化するからです。社会学や社会心理学は、これを「予言の自己成就」、心理学はこれを個人にもあてはめて「ピグマリオン効果」と呼びました。SNSのニセ情報でパニックになるのも同じです。
情報の「よき送り手」と「賢い受け手」に
メディアは本来、公正中立であるべき存在ですが、こうした流行を仕掛けたり、あるいは意図的・無意図的な偏った見方による情報を流したりするなど、「作られている」側面が少なからずあります。そうして「作られた」メディアの情報によって、私たちも「作られている」のです。ですから、メディアから届く情報に対しては、その情報が本当に真実なのかどうか、意図的に操作されていないかどうか、意図はなくともどのような効果をもたらしているか、きちんと判断できる能力「メディアリテラシー」を身につけて接する必要があります。情報に対して、メディアを扱う組織や人は「よき送り手」であるべきですし、私たちは「賢い受け手」にならなければいけません。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
フェリス女学院大学 文学部 コミュニケーション学科 教授 諸橋 泰樹 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
マスコミュニケーション学、ジェンダー学先生が目指すSDGs
先生への質問
- 先生の学問へのきっかけは?
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?