国際交流? 社会貢献? 日本語教育の知られざる役割とは?
海外の日本語学習者は急増している
海外で日本語を学ぶ外国人がどれくらいいるか知っていますか? 2012年度の調査によると、実に約400万人にのぼります。ちなみに、1979年度の調査では約13万人でした。なんと30年余りで30倍以上にも増えているのです。日本の漫画やアニメなどのポップカルチャーが世界中から注目されるようになった影響もあり、外国人の間で日本語教育の需要は高まりを見せています。
葛藤を抱えながら日本語を学ぶ人々もいる
一方、日本の国内にも日本語を学んでいる人々はたくさんいます。そう聞くと、あなたはまず海外からの留学生やビジネスマンを思い浮かべるかもしれません。しかし、国内の日本語学習者には、さまざまな背景があります。なかには、日本文化への知的好奇心からではなく、日本社会に適応するために日本語を学んでいる人もいます。
例えば、中国帰国者、日系人、国際結婚などで来日した人やその子どもなどです。彼らのなかには「自分は何人なのか」というアイデンティティの葛藤を抱えながら、社会生活上の課題として日本語の習得に取り組んでいる人もいるのです。
日本語教育が子どもたちを救う
日本語教育学は、単に外国人に日本語を教える手法を学ぶものだと思われがちです。しかし、実は日本語教育学は、日本語を教える技術はもちろん、学習者の背景にあるさまざまな問題まで総合的に考える学問なのです。例えば先に挙げた中国帰国者の場合、彼らの子どもたちは日本語を話せないために日本での就学・就職のチャンスを奪われるケースが多々あります。そうした子どもたちの未来をひらくための日本語教育のあり方を考えることも、学問的に重要な視点のひとつです。また、近年では国内でもいろいろな国籍の人々が集まる地域が出てきています。そうした地域の国際交流の円滑化にも、日本語教育は大きな役割を果たしているのです。
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先生情報 / 大学情報
フェリス女学院大学 グローバル教養学部 心理コミュニケーション学科 共生コミュニケーター専攻 ※2025年4月開設 准教授 田中 里奈 先生
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