アスリートへの「メンタルトレーニング」とは?
気持ちの切り替え、集中力向上などに有効
練習のときはいい結果を出せるのに、本番や試合になると結果が出ない、という経験はありませんか。スポーツ界では、そうしたアスリートへの心のサポートである「メンタルトレーニング」が注目されています。例えば、ラグビー選手のキック前のルーティンもその成果のひとつです。決まった動作をすることで、プレッシャーやマイナス思考といった余計なことを考えず、プレイに集中できるようになるのです。
必要な能力はトレーニングで身につく
相撲力士の取組前のパフォーマンスも同じです。陸上選手がスタート前に「パン」と手をたたいて思考のスイッチを切り替える、水泳選手が呼吸法でリラックスするといったパターンもあり、その手法は多彩です。メンタルトレーニングは、結果を出すために足りないメンタル面の強化を目的にしています。忍耐力や自己コントール力、勝利への意欲、集中力といった強化したい点を探り、必要な力をトレーニングによって身につけます。
例えば球技では、瞬時の判断力や決断力が重要になるため、モグラたたきゲームに似たものを利用して判断力強化の練習をすることがあります。もちろん、チーム戦や個人戦など、スポーツの種類によっても必要となる能力は異なります。メンタルトレーニングは多種多様な手法があり、「この場合はこれ」といった決まりはないため、選手と何度も話し合って実践し、ベストな方法を導き出します。その結果、オリンピックで活躍した選手も少なくありません。
スポーツだけでなく、身近でも使える手法
メンタルトレーニングを含む心のサポートは、脳や神経に関わる感覚心理学や、心身の健康を維持する健康心理学、スポーツ心理学、臨床心理学といった学問をベースにあらゆる手法を考案していきます。まだ研究の余地があり、無限の可能性を秘めています。これが一般的になれば、学校での部活動や会社などで生かせるテクニックにもなります。スポーツ界だけでなく、社会への貢献にもつながっているのです。
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先生情報 / 大学情報
至学館大学 健康科学部 健康スポーツ科学科 教授 氏原 隆 先生
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