「インド」に学ぶ、グローバルビジネスとフロンティア精神
大国なのに日本との関係は薄いインド
私たちは、インドに対して中国や韓国などほかのアジアの国々ほど馴染みがありません。ビジネスや人的な交流もさほど多くありません。インドは貧富の差が激しく、道路や電気などの生活インフラ整備も遅れています。カースト制度が維持されるなど文化的にも日本とは大きく異なる多様性社会であることが、関係が薄い原因なのかもしれません。しかし、インドは人口12億人を超え、大企業も多く、経済的にも政治的にも世界に対して影響力を持っている大国です。海外在住のインド人は2000万人を超えます。
世界で必要とされるインドのIT技術者
IT分野でインドに注目が集まったのは、コンピュータの「2000年問題」でした。欧米のIT企業は問題解決のために多くの技術者を必要としていました。そこで、白羽の矢を立てたのが、米国で実績を積んだインドのIT技術者でした。
彼らは、技術力があるだけでなく英語にも長けています。そのため、欧米とのビジネスに抵抗感がありません。また、同じレベルの技術サービスを安い人件費で提供することができました。インドは欧米を中心としたグローバル経済において、特に人材面で必要不可欠な存在となっているのです。
インドの「フロンティア精神」に学ぶ
インドは社会システムが高度化されていないため、物事を根底から考えられることも強みです。
日本では人口減少や高齢化で、若者を中心に閉塞(へいそく)感がまん延しています。それに対して、インドは経済的にはまだ発展途上であり、新しいことに挑戦しようという「フロンティア精神」を持った若い人材があふれています。この精神は、今の日本人には最も欠けたものでしょう。インドの社会やビジネスを知ることは、日本人が閉塞感を打ち破ることにつながるかもしれません。実は、インドでビジネスや交流に意欲的に取り組んでいる頼もしい日本人がいることも事実です。インドで今、どのような変化が起きつつあるのか、注目されるところです。
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先生情報 / 大学情報
福岡大学 商学部 貿易学科 教授 石上 悦朗 先生
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