教師と地域の教育力
「子どもの秘めた力を引き出す「響育」」
子どもの成長には支え合う仕組みが必要です。例えば、ある小学校2年生のクラスでの話です。車いすで生活するクラスメートのために、退院祝いのお楽しみ会を開くことになりました。レクリエーションの内容を子どもたちが話しているとき、動きの激しい遊びは無理だから避けようという意見が出ました。ところが、本人が「大好きだから、やりたい」と希望したので、子どもたちは「まずやってみて、みんなで遊べるように助け方を練習しよう」と、車いすの子が好きな遊びに決めたそうです。
子どもたちは、やさしい心や考える力を秘めています。それを養い、発揮できる場が必要です。子どもたちが支え合い、持っている力を互いに引き出し合う「響育」するクラスをつくれる教師が求められています。
「支えはできるだけ多く」
また逆に、学級の運営が困難な状態におちいった場合、担任の教師だけで立ち直らせることは、非常に難しいことです。調査では、学級崩壊から回復できる方法が2つあるという結果が出ています。ひとつは教師集団がその学級をサポートすること。担任以外の教師が助言したり授業を交代することで、問題解決への道を開く方法です。もうひとつは、保護者や地域の力。子育ては地域全体で行うという意識を持ち、行動に移す方法です。例えば、学校が新しい取り組みを始めたときには、地域が協力するという姿勢が子どもたちに変化をもたらします。学校という社会には子どもの集団を支える教師の集団があり、さらに保護者の集団や地域社会があります。これらが一体となって支える仕組みが学級を立ち直らせます。子どもと教師の「響育」を支える「共育」の仕組みはできるだけ多い方が良いのです。
さまざまな原因で生きづらさを抱えている子どももたくさんいます。このような子どもをどうサポートするかが現代の大きな課題です。弱者に目が届く教師が必要なのはもちろんのこと、学級づくりのために、地域を含めた多くの人で支える「共育」のネットワークを構築していくことが重要なのです。
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