食品の「加工技術」と「衛生管理」で、おいしいものが食べられる!
食品加工の必要性から食文化が根づく
食品には、生鮮食品と調理食品・加工食品があります。太古の時代は季節に応じた生鮮食品だけでしたが、不漁・不作だったりとれ過ぎたりで、余った食品は腐らせないように加工して保存し、足りない時に食べて命をつなぎました。納豆のように、加工の途中で糸を引いたものを食べてみたらおいしくて、それが加工技術になった例もあります。地域特有の魚の加工食品などは、土地の食材に合わせて必要によってできたもので、それが「食文化」です。
世界中の食品を楽しむ日本
現在は多様多彩な食品を食べていますが、少し時代をさかのぼってみると、穀類や魚など決まった食品しかありませんでした。しかし、現在の日本は、加工食品を輸入するだけではなく、世界中から生鮮食材を輸入して加工もしています。
さまざまな食品が輸入されるようになり、その加工技術も進歩したことで、食生活が豊かになったのです。こうした生鮮食品も加工食品も、世界的な品質や衛生の厳しい基準に従って輸入されていることが、食品流通の大事なポイントです。
食品の加工や保存と食品衛生の高いハードル
食品流通での問題は、日本の食品の多くが、世界には売れないということです。リンゴやユズなど生の果物は大丈夫でも、鮮魚は売ることができません。しかし、海外の魚は輸入できます。というのは、実は日本の食品衛生管理の基準が世界基準に達していない場合が多いからです。環境が清潔で、外見は問題ないように見えても、本当に科学的に衛生的な方法で加工するという点で、日本は後れをとってきました。日本には職人技があり、それを良しとしてきたのも原因の1つです。海外には職人技がない代わりに、科学的に管理し調べるという世界基準が発達したのです。
食品衛生は、手を洗って髪の毛が落ちないようにといったマナーではなく、科学的な手順や管理に基づいてこそ実現できます。例えば、食品衛生という基準に基づいた技術で保存できるように加工したものが、瓶詰めや缶詰、レトルトなどの加工食品なのです。
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先生情報 / 大学情報
高知県立大学 健康栄養学部 健康栄養学科 教授 渡邊 浩幸 先生
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