ゲームをしている時、人の体には何が起こっているのか?
「ゲームサイエンス」という学問分野
「ゲーム」と聞くと「遊び」というイメージを持つ人が多いと思いますが、最近は「ゲームサイエンス」という研究分野が確立され、学問の一分野となっています。テーマも、人工知能やコンピュータグラフィックス(CG)、バーチャルリアリティ(VR)、ゲーム関連の社会学や消費行動の研究など、多岐にわたっています。
プレイ中に人間が感じているストレスを測る
ゲームをしている時、人間は緊張して、ある種のストレスを感じながらプレイしています。プレイ中のどのタイミングでどの程度のストレスを感じているかを推定する手段として、脈波(血液の流入で生じる血管容積の変化を体表面から波形としてとらえたもの)を測るという方法があります。指先に脈波を計測するための小さな装置をつけたり、頭に装着するVRディスプレイが額に当たる部分に光学式センサーをつけたりした状態で、被験者にゲームをプレイしてもらうのです。人間は緊張してストレスを感じると、手足が冷たくなりますが、これは大まかに言うと血管が収縮して手足に血液が運ばれにくくなるからです。ストレスで血管が収縮すると、脈波は小さくなるため、この現象を利用してストレスを推定します。
例えば、クルマのレースゲームをする場合、操作の難しいクルマを使っている時や、慣れていない新しいコースに入った時など、人間は緊張してストレスが上昇する傾向にあることがわかっています。
面白いゲームを作るための新たな基準
ゲームをプレイしている時のストレスの分析の研究が進むと、あるゲームがきちんと面白く作られているか、プレイヤーが不必要な心理的ストレスを感じてしまうゲームになっていないか、適切に検証できるようになると考えられています。最近では一つのゲームを作るための開発費も莫大な額になるため、難しすぎず、やさしすぎず、誰もが面白くプレイできるゲームの開発をサポートする新たな仕組みとして、この分野の研究が注目を集めているのです。
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先生情報 / 大学情報
帝京大学 理工学部 情報電子工学科 教授 小川 充洋 先生
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