「自分ごと」として考える日本の未来

「自分ごと」として考える日本の未来

さまざまな要因が複雑に絡み合う

ささいな行き違いで友人と口論になり、周囲の友人たちがあおってきたので引くに引けなくなり、大きなけんかに発展してしまった。そんな経験はありませんか。戦争の経緯も、それに似ています。エネルギー問題や領土問題など発端はさまざまです。双方の国の立場や歴史的・文化的な考え方の違い、政治体制の違いや力関係、同盟国同士の政治的な駆け引きなどが複雑に絡み合い、「引くに引けない」状態に陥ってしまうのです。戦争について考える場合、単一の視点ではなく複合的な要因を考え合わせながら判断しなければなりません。

「遠い国の話」ではない戦争のリアル

また、1つの国の中で異なる勢力が衝突する「内戦」も、戦争の一種です。世界を見渡すと、現在、30~40もの戦争が同時進行しています。島国の日本に住んでいると、戦争は遠い国の話と「他人ごと」として考えがちです。日本には同盟国であるアメリカの軍事基地が多数あります。アメリカに宣戦布告する国が現れ、米軍基地への攻撃を開始すれば、たちまち日本も戦場になってしまうのです。そうならないように日本は何をすべきか、私たちはどのような行動を選択すべきか、「自分ごと」として考えることが重要です。

今後、日本はどうあるべきか

戦争抑止力を高めるためには、「外交力」「情報収集力」が欠かせません。正規の外交ルート以外に、「裏チャンネル」的な交渉を取りまとめつつ、敵対する可能性がある国の動きをいち早くキャッチし、その対抗策を整えなければ手遅れになるケースも少なくありません。日本の外交と情報収集は、「言葉の壁」による意思疎通の拙さなどもあり、決して百点満点とは言えません。エネルギーや食糧の多くを輸入に頼っている日本の場合、それらの依存先が1つの国に集中しないようにすることも重要です。日本はこれから、どういう政策を進めて、国際的にどのような立ち位置をめざすべきなのか、国際関係学を通じて考え続けることが必要なのです。

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防衛大学校 人文社会科学群 国際関係学科 教授 宮坂 直史 先生

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