地域の誇り&観光資源でもある祭りや行事を未来へつなぐ方法
存続の危機にある伝統行事
京都の祇園(ぎおん)祭や滋賀県の大津祭といった、国の重要無形民俗文化財に指定されるようなお祭りは、貴重な伝統行事であり、観光資源でもあります。祭りによっては1000年以上の歴史を持ち、現在に脈々と引き継がれています。祭りは単なるイベントではなく、神事であり、地域の文化的シンボルやアイデンティティに関わるものです。ただ、少子高齢化の影響などでの人材不足や資金不足から、存続の危機にある祭りが増えています。
祭りをアウトソーシング?
解決策のひとつとして、氏子以外の人に依頼する方法があります。変えてはいけない大切な部分は残して、お守りの準備や頒布、山車の曳き手など、外部の人に任せてもいい部分は任せるのです。ほかに、外部によるプロモーションやクラウドファンディングでの資金調達といった手段も考えられます。課題は祭りや地域の状況によって異なるため、その祭りに最適な方法を見定めることが大切です。
江戸時代は状況に合わせて祭りの形式を変えていました。現代においても、未来に伝えるためには、時代に合わせて変えていく必要があるでしょう。さらに、若い人に引き継ぐ、自分たちで運営できる仕組みを作ることが存続には不可欠となります。
歴史から未来へ
山車の飾りなどを見ると、祭りは伝統工芸品の宝庫です。それを作る職人も減少しています。職人の日常生活や人柄を紹介したり、新しいデザインの作品などをプロモーションしたりして、まずは多くの人に知ってもらうことが大切です。
伝統文化を後世に残すには、歴史学や民俗学など文化的な視点から検証して、継承されてきた歴史をひも解くことが欠かせません。それが未来へつなぐヒントになります。
また、祭りや伝統行事は平和の象徴であり、内戦や戦争状態の国や地域ではそれらが中断されています。日本の祭りや伝統行事もかつて戦争による中断・復興を経験していますから、それが今後の復興のモデルになるかもしれません。祭りや伝統行事にはまだ多様な可能性があるのです。
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先生情報 / 大学情報
京都外国語大学 国際貢献学部 グローバル観光学科 准教授 村山 弘太郎 先生
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