講義No.14616 児童学 教育

保育における対話研究

保育における対話研究

生まれた瞬間から始まる「対話」

私たちは、生まれた瞬間から周りの世界と「対話」を始めます。生まれて間もない0歳児であっても、おなかがすいた、抱っこしてほしい、あれを触ってみたいなど、いろいろな思いを持っています。私たち大人は、そうした子どもの思いを汲み取り、さまざまに対話しながら、その子とのかけがえのない関係を紡いでいきます。
保育は、複数の子どもたちと大人たちが共に暮らす場です。そこには、一人一人異なる人生を歩んできた人たちが集まっています。一緒に遊んだり、食事をしたりする中で、思いが通じ合ったり、ぶつかったりと、さまざまな対話が生まれます。

保育の場で生まれる対話

乳幼児期は、私たち大人のように、言語優位のやりとりをすることは難しい年齢です。言葉で話せるようになった幼児期の子どもでも、自分の思いを的確に言葉で表現できるとは限りません。
保育者は、子どもたちと日々共に暮らしながら、一人一人の心の状態を推しはかり、その子の興味・関心を推察し、保育の環境を構成したり、一緒に遊んだり、遊びが発展するきっかけを作ったり、そっと見守ったりします。
また、保育者が介在しない対話場面も興味深いです。子どもたちの声に耳を澄ませると、彼らの豊かな世界を知ることができます。いろいろな人生を生きる人たちの集まりだからこそ、そこで生まれる対話は多様で面白いのです。

保育における対話研究

保育現場で生じる対話について、0歳児クラスから5歳児クラスまでを対象に、さまざまな遊びや集まりの時間、食事など一日のいろいろな場面に着目して研究が行われています。話される言葉だけでなく、声のトーンや表情、仕草、身振り、身体の硬直や弛緩の様子など、あらゆる「声」を捉え、対話が生まれた状況や文脈も考慮しながら質的な分析が行われています。
互いの「声」を聴き合い、感情や思考を交流し、新たな意味を生み出している、その対話の在りようを研究することには、「人と人が共に生きていく」という奥深さや面白さについて考える喜びがあります。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

千葉大学 教育学部 学校教員養成課程 准教授 淀川 裕美 先生

千葉大学 教育学部 学校教員養成課程 准教授 淀川 裕美 先生

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子ども学、保育学

メッセージ

さまざまな人と出会い、いろいろな世界を知って、その中から自分の進む道を見つけられるといいですね。
周りの人生の先輩たちからいろいろな意見をもらうかもしれませんが、その気持ちに感謝しつつも、まずは自分の直感、これが好きだ!という思いを大事に、人生の選択をしてください。
出会いの機会は人だけでなく、本や映画など、先達が考え抜いた作品の中にもたくさんあります。いろいろな作品に触れることで、あなたの人生観や人間観がきっと豊かになると思います。

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千葉大学は、他大学にないユニークな学部を含む全11学部を擁する総合大学です。学際的文理融合の精神のもとに、教育研究の高度化、産官学の連携推進、国際交流の拡充を進めています。近隣には放送大学、国立歴史民族博物館などがあり、各分野で共同研究が行われています。「つねに、より高きものをめざして」の理念のもと、世界を先導する創造的な教育・研究活動を通しての社会貢献を使命とし、生命のいっそうの輝きをめざす未来志向型大学として、たゆみない挑戦を続けます。