人はどうして「旅行に行きたい!」と思うのか?
旅行に行きたくなる動機を分析する
私たちが「旅行に行きたい!」と思うようになる時、そのきっかけや動機にはさまざまなものがあります。テレビで紹介されていたきれいな風景を見て、「ここに行ってみたいな」と思ったり、雑誌に載っていたグルメ記事を読んで「これを本場で食べてみたいな」と思ったり、静かな山の中でのんびり過ごしたいとか、ある場所で催される年に一度の祭りに参加したいとか、いろいろな理由があるでしょう。人はなぜ旅行に行きたいと思うのか、その行動の背景を探っていくと、面白いことがわかってきます。
「PULL要因」と「PUSH要因」
人間が何かの目的に向けて行動を起こし、その達成まで持続させる心理的な力のことを「モチベーション」と呼びます。モチベーションの要因には、大きく分けて「PULL要因(引き寄せ要因)」と「PUSH要因(後押し要因)」の2つがあります。
PULL要因はある行動を人に起こさせる外的な要因となるもので、旅行の場合、テレビで見かけた美しい風景や、本で読んだ世界遺産の解説文、アニメ映画の舞台として登場した実在の場所などの情報がそのきっかけになります。一方、PUSH要因は、日々の生活の中で人間をある行動に方向づける個人内の要因です。旅行の場合は「冒険」あるいは「リラックス・癒やし」など、脱日常性のある欲求がそれにあたります。
利用者のニーズをよりよい形で満たすために
旅行の動機をさらに分析していくと、緊張の解消、娯楽の追求、人間関係の強化、知識の増進、自分自身の成長など、いくつかのパターンに分類できます。その一方で、旅行にかかる費用や時間、海外旅行では言葉の壁やトラブルへの不安など、旅行を検討する際にマイナスとなる要因ももちろん存在します。
こうしたさまざまな要因をきちんと踏まえた上で、利用者のニーズをよりよい形で満たせるような提案をしていくことが、観光経営学の分野、そして旅行業界に求められているのです。
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先生情報 / 大学情報
帝京大学 経済学部 観光経営学科 准教授 花井 友美 先生
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