オタク文化を読み解く

オタク文化を読み解く

1980年代のオタク

オタクとは、「ある特定の分野に強い関心を持ち、それに関わる情報や商品を積極的に収集しようとする人のこと」と定義されます。このオタクと言われる人たちが登場してきたのは1980年代中頃です。しかし、当時は現在のオタクのイメージとは異なり、多くのオタクは異性と付き合い、結婚をしています。それは、彼らが自分のオタク要素を隠し、恋人とスポーツをしてドライブを楽しむといった、マニュアルに沿った恋愛をしていたからなのです。
当時の彼らにとって、「あくまで自分の世界だけに没頭し、結婚しない」という選択が難しかった原因は「結婚圧力」です。80年代の若者の親の多くは、戦争経験世代であり、「結婚しなくてはいけない」という強いプレッシャーを子どもにかけていました。つまり、当時の若者にとって結婚は義務であり、その義務を果たすためにも自分のオタク的な面をオープンにすることが難しかったのです。
ところが現代は結婚率の低下が叫ばれています。特に、30代の男性の2人に1人は結婚をしていません。この世代の親というのは、とりわけ子どもに結婚することを押し付けない傾向があります。ですから、その世代以降のオタクと呼ばれる人たちは、結婚圧力から解放され、自分の世界に没頭することができ、結婚を意識する必要もなくなったのです。

男性オタクと女性オタク

そして、“オタク”は男性に限ったものでもありません。女性でもアニメや漫画などのオタクはいます。しかし、男性オタクと女性オタクには大きな違いがあります。男性オタクは、対象に強い関心があるのに対して、女性オタクは、自分の変化にまず関心があります。例えば、アニメキャラクターのコスプレをする場合、男性は自分の好きなアニメそれ自体に興味があるため、自分の顔が隠れてしまっても構いません。しかし、女性の場合は、そのコスプレをすることで変化を遂げた自分の方に関心があるため、顔は隠さない傾向があります。オタクと言っても、男性・女性によって、対象への関心の寄せ方が違うのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

千葉大学 教育学部  教授 藤川 大祐 先生

千葉大学 教育学部 教授 藤川 大祐 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

メッセージ

大学は学ぶところです。多くの本を読み、教員やほかの学生と大いに議論し、学校や地域の現場に出てさまざまな体験をします。社会の急激な変化の中で教育にはたくさんの課題が突きつけられていますから、高い意欲をもつ人が教育を学び、社会に貢献してくださることを願っています。高い意欲をもつということは、例えば大学入学前から教育に関する本をたくさん読み、広い学問分野に関心をもって学校で教わる以上のことを自主的に学び、文章を書くなどの表現を豊富に行い、地域を活性化する活動に貢献しているということだと私は考えています。

千葉大学に関心を持ったあなたは

千葉大学は、他大学にないユニークな学部を含む全11学部を擁する総合大学です。学際的文理融合の精神のもとに、教育研究の高度化、産官学の連携推進、国際交流の拡充を進めています。近隣には放送大学、国立歴史民族博物館などがあり、各分野で共同研究が行われています。「つねに、より高きものをめざして」の理念のもと、世界を先導する創造的な教育・研究活動を通しての社会貢献を使命とし、生命のいっそうの輝きをめざす未来志向型大学として、たゆみない挑戦を続けます。