「苦手さ」を抱えた子どもの力になろう!

「苦手さ」を抱えた子どもの力になろう!

特別支援教育の内容が広がってきた

文部科学省の調査で、全国の小学校の通常の学級に、学習・行動・対人関係に苦手さをもった子どもたちが約6.5%いることが推定されました。発達障がいに関する定義づけが明確になるまで、本人や担任への支援など専門的な対応も十分ではなく、多発する学級崩壊の要因になることもありました。
2007年からは、発達障がいのある子どもへの教育も「特別支援教育」の1つとして義務化されました。学校には心理的な課題について支援するスクールカウンセラーがいますが、発達障がいなどを含む専門的な支援を学校全体で実施する中心的な役割を担う「特別支援教育コーディネーター」が、全国の小・中学校で95%以上、高校でも85%以上指名されるところまで来ています。

専門家ならではの方法論が必要とされる

特別支援教育における専門的な指導は、学問的な方法論に沿って行われます。例えば発達障がいの1つに、読み書き障がいがあります。全体的な理解力はあるのに漢字が読めない場合、多くの教科に影響が出て学習が困難になります。実態を把握するには、まず特別支援の専門教員がインテーク(面接)を行い、本人、保護者、担任も含め、どこに苦手があるのかを知った上で、知能検査や認知機能検査、行動観察など多面的な調査を行います。この結果を専門的に解釈し、いわゆる教育診断をして個別の指導計画を作り、支援を進めます。

やりがいの深い、特別支援教育の現場

「苦手さ」という障がいは、人によって千差万別です。いくら専門家でも、苦手さをもった子どもの検査や行動観察などの解釈に100%の正解というものはありません。指導の成果が出なかったことで、より深い事情が見えて、また異なる指導が必要となる場合もあります。それだけに、指導の成果が出て、課題が解消されていくといった良い変化が起きれば、専門教員にとっては大きなやりがいとなります。子どもたちへの個別の教育支援計画は長期的な視点も必要なので、専門的な学びの深さが、やりがいにもつながっていく分野です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

高知大学 教育学部 特別支援教育コース 教授 寺田 信一 先生

高知大学 教育学部 特別支援教育コース 教授 寺田 信一 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

特別支援教育、生理心理学

メッセージ

「苦手さ」をもった子どもたちの中には、学習面での苦手さだけでなく、落ち着きのなさ、注意が持続しないなど、行動面での苦手さをもった子どもがいます。それから、対人関係で人と関わる苦手さをもった子どももいます。こういう子たちが通常の学級の中にも約6.5%います。
特別支援学校の教員養成だけでなく、この子たちに対する専門的な指導ができる教員も養成しているのが、高知大学教育学部の特別支援教育コースです。「苦手さをもった子ども」への支援を専門とする教師になりたいというあなた、ぜひ、高知大学をめざしてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

高知大学に関心を持ったあなたは

高知大学は、四国山地から南海トラフに至るまでの地球環境を眼下に収め「地域から世界へ、世界から地域へ」を標語に、現場主義の精神に立脚し、地域との協働を基盤とした、人と環境が調和のとれた安全・安心で持続可能な社会の構築を志向する総合大学として教育研究活動を展開しています。
教養教育、専門教育、正課外教育やインターンシップを通じ「表現力」「プレゼンテーション能力」「コミュニケーション能力」「異文化理解能力」「情報活用能力」の5つの能力で社会の力になる21世紀の知識創造社会で活躍できる人材を輩出します。