ホログラフィーが切り開く次世代光メモリーの可能性
ホログラフィーとは何か
ホログラフィーとは、光で3次元の物体を表現することのできる技術です。光の強度だけで画像を記録する写真と違って、ホログラフィーでは光の波の位相も保持しているので、物体の形状まで表現することができます。人は左右2つの目での見え方の差異(両眼視差)などによって奥行きを感じ取っていますが、ホログラフィーは物体からの波面をそのまま記録再生することで、実際の物体を観察しているときと同じ両眼視差を人に知覚させることができます。そのため偏光フィルターを用いる3D映画や3Dモニターなどに比べて、より自然な立体知覚が可能で、目が疲れにくいなどの特徴があります。
情報の記録に用いられるホログラフィー
ホログラフィーの技術は、映像の表示目的だけでなく、微細な振動を計測する装置や物体の複雑な形状を計測する装置などにも活用されています。またCDやDVD、ブルーレイなどに代わる次世代の光メモリーシステムとして「ホログラフィックメモリー」と呼ばれる光メモリーの研究も行われています。
従来の光ディスクは、ピットと呼ばれる微細な穴にレーザーを当て、その反射率を0か1かで識別していくという方式です。一方ホログラフィックメモリーでは、2次元コードのような白黒パターンの2次元の画像情報を一気に記録・再生するので、理論上は転送レート(単位時間当たりに処理される情報量)が非常に高くなります。またディスクの奥行き方向にも情報を詰め込めるため、同じディスク1枚でも記録容量を大幅に拡大することが可能です。
より安全で省エネなデータ保管方法
ホログラフィックメモリーをはじめとする次世代の光メモリーシステムは、さほど頻繁に利用されないデータ(コールドデータ)を長期保存しておくという用途に適していると考えられています。データが消える可能性のあるハードディスクやフラッシュメモリーよりも、大切なデータを安全に、かつ省エネルギーな環境で保管できるからです。これからは、このような光メモリーシステムの実用化が期待されています。
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宇都宮大学 工学部 基盤工学科 情報電子オプティクスコース 准教授 藤村 隆史 先生
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