異なる価値をうまく調整するのが「政治」である
政治って何?
政治は、国民にとって大事なことが決まる場所です。なぜなら、国民の「安心・安全・自由・平等(公平)・効率性」を実現するための政策や法律が決まるところだからです。しかし、安全を優先し過ぎると自由が奪われ、自由を優先し過ぎると公平さが失われます。
例えば、一部の自治体で、中学生以下が自転車に乗るときにヘルメット着用を義務づける条例が施行されています。これで子どもの安全性は高まりますが、スタイルの自由は部分的に奪われたと言えます。このように政治には、「あちらを立てれば、こちらが立たない」というトレードオフの状態がつきものなのです。
自由とパターナリズムのはざまにある政治
政治では「パターナリズム(paternalism)」が問題視されます。パターナリズムとは、「保護者が子を思うように、強い立場の者が弱い立場の者の利益のためだとして、弱い立場側の意思とは関係なく、干渉や支援を行うこと」です。日本では飲酒や喫煙に法律上の年齢制限があります。海外には、保護者が決めることとして法律上の制約がない国もあります。監視カメラの設置についても、国によってプライバシー保護と安全性の優先順位が違います。このように国や地域によって考え方が異なるのは、政治によって法律が決定されているからです。
政治学のテーマは多彩
政治について、興味をもてない、怒りを感じるなど、受け止め方はさまざまでしょう。ただ、日本において確かなのは、政治は国民が選挙で選んだ人が行うということです。政治におけるアジェンダ(議題)には、世論調査やマスメディアなどで挙がる「公衆アジェンダ」、政府や官僚が提案する「政策アジェンダ」などがあります。政治学では、アジェンダの選択から政策が決定する流れ、選挙に行く人・行かない人の行動などについて、研究されています。政治学のテーマは、身近なものからグローバルなものまで多彩であり、自分なりに見つけて研究する面白さがあるのです。
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関西学院大学 法学部 政治学科 教授 北山 俊哉 先生
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