講義No.09192 政治学

異なる価値をうまく調整するのが「政治」である

異なる価値をうまく調整するのが「政治」である

政治って何?

政治は、国民にとって大事なことが決まる場所です。なぜなら、国民の「安心・安全・自由・平等(公平)・効率性」を実現するための政策や法律が決まるところだからです。しかし、安全を優先し過ぎると自由が奪われ、自由を優先し過ぎると公平さが失われます。
例えば、一部の自治体で、中学生以下が自転車に乗るときにヘルメット着用を義務づける条例が施行されています。これで子どもの安全性は高まりますが、スタイルの自由は部分的に奪われたと言えます。このように政治には、「あちらを立てれば、こちらが立たない」というトレードオフの状態がつきものなのです。

自由とパターナリズムのはざまにある政治

政治では「パターナリズム(paternalism)」が問題視されます。パターナリズムとは、「保護者が子を思うように、強い立場の者が弱い立場の者の利益のためだとして、弱い立場側の意思とは関係なく、干渉や支援を行うこと」です。日本では飲酒や喫煙に法律上の年齢制限があります。海外には、保護者が決めることとして法律上の制約がない国もあります。監視カメラの設置についても、国によってプライバシー保護と安全性の優先順位が違います。このように国や地域によって考え方が異なるのは、政治によって法律が決定されているからです。

政治学のテーマは多彩

政治について、興味をもてない、怒りを感じるなど、受け止め方はさまざまでしょう。ただ、日本において確かなのは、政治は国民が選挙で選んだ人が行うということです。政治におけるアジェンダ(議題)には、世論調査やマスメディアなどで挙がる「公衆アジェンダ」、政府や官僚が提案する「政策アジェンダ」などがあります。政治学では、アジェンダの選択から政策が決定する流れ、選挙に行く人・行かない人の行動などについて、研究されています。政治学のテーマは、身近なものからグローバルなものまで多彩であり、自分なりに見つけて研究する面白さがあるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

関西学院大学 法学部 政治学科 教授 北山 俊哉 先生

関西学院大学 法学部 政治学科 教授 北山 俊哉 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

政治学、公共政策学、行政学

先生が目指すSDGs

メッセージ

「政治なんて遠い世界のことだ」と感じる人もいるかもしれませんが、生まれた国によって幸せか不幸かが決まるとすれば、政治はとても身近で重要なものだと思いませんか?
私は、政治学は国民が主役になるために必要な学問だと考えています。政治に対して自分なりに何らかの疑問や思いがあるなら、それがあなた独自の政治学のテーマです。あなたが地域や社会をよくしたいと考えているなら、ぜひ一緒に、研究しましょう。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

関西学院大学に関心を持ったあなたは

スクールモットーである"Mastery for Service"は、「奉仕のための練達」と訳され、関西学院の人間として目指すべき姿を示しています。1889年にアメリカ人宣教師W.R.ランバスによって創立された関西学院は、このスクールモットーを体現する、世界市民を育むことを使命とし、現在、関西学院の3つのキャンパスでは、約2万人の学生が個性あふれる14学部で学んでいます。2021年4月からKSC(神戸三田キャンパス)は文系の総合政策学部と理系の理、工、生命環境、建築学部の5学部体制となりました。