講義No.13387 政治学

投票に行っても政治は変わらないのか? 選挙と政策との関係

投票に行っても政治は変わらないのか? 選挙と政策との関係

「選挙に行っても無駄」は本当か?

日本では、あらゆる選挙で投票率の低迷が続いています。若い世代の政治参加を促すために、2015年から満18歳以上が選挙権を持つようになりましたが、それでも投票率の低さはあまり変わっていません。その状況を象徴するかのように、「選挙に行っても、政治は何も変わらない」という言葉を聞くことがありますが、選挙には本当に政治を変える力がないのでしょうか?

多様な意見が集まってこそ、政治は動く

選挙が政治を動かしているのは間違いありません。例えば、国の補助金がどのような地域に配分されているかをデータにまとめて解析していくと、その時政権を握っている政党に多くの人が投票したところに補助金が多く配分され、その地域が求める政策にお金が使われていることが明らかとなっています。選挙に行っても意味がないように感じるのは、現在の日本の投票率があまりにも低すぎて、毎回同じような人だけが投票に行っているために、多様な意見が集まらないからなのです。実際に、政治が動いた象徴とも言える「政権交代」が起きた時の投票率を見てみると、その前後の選挙よりも投票率が比較的高い傾向にあることがわかります。

投票率を上げるには「主権者教育」が大切

投票行動は、子どもの時の親の影響を強く受けます。親が投票に行かなかった家庭で育つと、子どもは選挙の大切さを実感できないため、同じく選挙に参加しない大人になってしまいます。投票の現状を変えるためには、成長過程にある小学生や中学生への「主権者教育」が大切です。主権者教育とは、模擬投票などによって選挙の仕組みや大切さを学ぶことで、主権者教育を受ける前と後では、子どもたちの意識が大きく変わることがわかっています。
自分の持つ一票は、とても小さなものに感じるかもしれません。しかし、各個人が「自分の生活をより良くしてくれる政治家は誰か」という観点から一票を投じることで、それが多様な意見の表明となり、政治をダイナミックに変えていくことにつながるのです。

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岩手県立大学 総合政策学部 総合政策学科 法律・行政コース 准教授 市島 宗典 先生

岩手県立大学 総合政策学部 総合政策学科 法律・行政コース 准教授 市島 宗典 先生

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政治学

メッセージ

大学の学部選びには、自分の興味関心を突き詰めることが大切です。高校生のあなたには、ぜひ今のうちに「やりたいこと」や「興味のあること」を見つけてほしいです。そして、特に社会科学の領域を学ぼうと考えるなら、今のうちにいろいろな体験をして社会に触れましょう。地域の人と話す、国内外に旅行する、違う世代の人と話すなど、普段とは異なる世界に少し触れてみるだけで、自分の住む社会が均一性を持つものではないとわかり、視野が広がるはずです。今だからこそ過ごせる時間を大切にしてください。

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大学は「知識」を得る場であるだけではなく、「人生の目的」を考える場であり、これからの人生で自分は何をなすべきかを探求する場でもあります。人はそれぞれ固有の素質と能力を持っています。それをいかに見出し、育成していくかが教育の最大課題であると考えています。この大学での貴重な学習期間に、自己の能力と個性を伸ばし、適性を見出すことに努めてください。本学の教職員は、全力を挙げてこれに協力します。