地域の住民と協力して新たな観光への転換をめざすプロセスを学ぶ

地域の住民と協力して新たな観光への転換をめざすプロセスを学ぶ

オールシーズン、オール資源活用の観光へと転換

スキー人口は、1990年頃をピークとし、昨今は半分以下に減っています。例えば、長野県飯山(いいやま)市には、かつてスキー場が10カ所程度ありましたが、今は3分の1ほどです。スキーを目的とした宿泊施設も経営的に厳しくなっています。そこで冬の観光から、春・夏・秋グリーンシーズンの観光への転換が求められています。これはウィンタースポーツを観光の目玉としてきた長野県の観光地やリゾート地全体に共通する課題です。

多様な生活に触れることが大切

こうした課題やその解決方法を考えるには、実際に過疎や高齢化が進む地域に行き、地元の人と交流を深め、現場で問題を把握することが重要です。観光施設経営者や、移住してきた人などからいろいろな話を聞けば、その取り組みを知ることができます。その中で多様な生き方や生活に触れることも大切です。そうすることで、エコツーリズムや地域の暮らし、文化を生かした観光プログラムを提案できます。
また、あまり知られていませんが、魅力的な風景や見晴らしのよいスペースを、もっと観光に活用するためのアイデアを出し合ったりもします。模型を使って既存の施設と周囲の景観を生かした新たな開発計画を三次元で考えることで、より具体的に検討できます。

説得力を持ってプランニングし提案を

膨大な予算が必要な案は、なかなか実現できませんが、地域での社会実験や地域住民による景観づくりなどはすぐに実行に移せます。アイデアを出すだけではなく、説得力を持ってプランニングし、提案できるかどうかが大切なのです。地域の住民と協力して実現に向けたプロセスを考えていきます。
地域の活性化を考えるためには、旅に出ることもいい経験になります。ヨーロッパでは若者が長期間、旅に出ることは一般的です。なぜなら、旅は風景を見たり食事を楽しんだりするだけでなく、人生を豊かにしてくれるからです。いろいろな経験を積み、人生を考える時間を持つことも旅の役割です。旅が新しい視点をもたらしてくれるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

長野大学 環境ツーリズム学部 環境ツーリズム学科 教授 熊谷 圭介 先生

長野大学 環境ツーリズム学部 環境ツーリズム学科 教授 熊谷 圭介 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

景観工学、まちづくり工学、観光学

先生が目指すSDGs

メッセージ

絵はがきになるような景勝地だけが素晴らしいわけではありません。全国各地には、味のある風景があります。慣れ親しんだ風景であっても、見る側の文化や体験、教養によって見え方が変わってくるものです。そこにある物語や、人々のつながりなどは、風景を価値あるものにしてくれます。
一方で、野放図に開発したために、ダメになってしまった風景もあります。風景を見る目を持った人が、まちづくりの計画に携わらなければならないのです。あなたもそういう目を養い、景観を生かすには、どうすべきか考えてみてください。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

長野大学に関心を持ったあなたは

長野大学は、1966年に地域の熱い期待を背負って誕生した「地域立」の大学です。本学は地域にある課題を発見し、地域とともに解決していく実践的な学びを大切にしています。地域には豊かな自然環境や歴史が宿る文化遺産、経済を牽引する産業や観光資源、安心して暮らせるまちづくりなど学びの要素があふれています。地域社会をフィールドに、主体的に考える力や、問題に対して多面的に取り組む力を養いながら漠然とした問題を明確化し、逆境に立ち向かっていける足腰の強い人材を育成します。