未知の微生物を捕獲して、人間の生活に役立てよう
未知の微生物を捕まえるには?
「未知の微生物」というと、ジャングルや深海、極地など、簡単には行けない場所にいるイメージがあるでしょう。もちろん、そういった場所からも未知の微生物が発見・捕獲された(分離培養された)例がありますが、身近なところからも捕まえることができるのです。例えば、水生植物のヨシは川のほとりや池などに行けば、すぐに見つけることができます。そのヨシの根から系統分類的にとても新しい未知の微生物を発見し、その培養に成功した例があります。
微生物を何に使う?
いくら未知の微生物を捕まえても、私たち人間にとって役に立たなければ価値がありません。では、こういった未知の微生物は何に利用することができるのでしょう? 例えば、田んぼなどにプカプカ浮いているウキクサを知っていますか? 実はこのウキクサは、環境汚染の原因となる化合物を分解する能力があるのですが、最近になってその能力はウキクサの根っこについている微生物の能力によることがわかってきました。しかも、その根や葉には未知の微生物が多く存在していることもわかったのです。つまり、その未知の微生物の中には環境汚染の原因物質を分解する能力を持つものが含まれる可能性が高く、こういった微生物を捕まえて、水生植物に再導入することで、環境浄化機能を強化したウキクサを作ることができるかもしれません。このようにして作った機能強化ウキクサは、汚水処理システムが整備されていない発展途上国や地域で活用できる可能性があります。
残り99%が秘めた可能性
現在、培養方法が確立している微生物は全体の1%以下で、その中には納豆菌や乳酸菌、抗生物質の材料となる放線菌など、人間の生活に役立つ微生物が数多くいます。つまり、残り99%の中には、それ以上に有用な微生物がいるかもしれず、これらの微生物は「宝の山」として、私たちに発掘されるのを待っている……と言っても過言ではないかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
山梨大学 生命環境学部 環境科学科 准教授 田中 靖浩 先生
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