機械学習によって人間の代わりに働く知的ロボットを開発する
考えて動くロボットの開発
工場のベルトコンベアの前に並ぶ産業用ロボットは、決まった製品に対して、決まった動作を行います。もし形や大きさの異なる物が流れてきたら、対応できません。しかし、ロボットにルールや仕組みを覚えさせる「機械学習」により、ロボットの対応範囲が広がり、「考えて動く」という、より人間に近い対応ができるようになります。産業はもちろん、介護、家事の場における応用も可能です。
ロボットがあなたの代わりに家事をしてくれる?
機械学習ではまず、物の形や大きさを数値にして、ロボットに搭載されるソフトに覚えさせます。「ロボットハンドでペットボトルをつかむ」という動作を例にとると、ペットボトルは商品によって形が異なり、大きさも200~2000mlと幅があるため、これらの形や大きさを数値化し、「このときにはこうつかむ」という計算式をソフトに覚えさせます。
すると機械学習によって、未知の形や大きさのペットボトルに対しても、適切な場所を、適切な強さで、落とさないようにつかめるようになるのです。機械学習を経たロボットは、ドライバーでネジを必要なだけ締める、種類の異なる衣服をきれいにたたむといったことも可能になります。
実は人間は難しいことを行っている
私たちが何気なく行っている動作は、さまざまな要素によって成り立っています。キッチンの上の卵を取るときも、卵との距離を目測して、手のひらを広げて手を伸ばし、指を使ってつぶれない強さで、持ち上げても落ちない場所をつかみます。そして同じ手で、卵を割ったり殻をゴミ箱に入れたりします。ロボットに人間と同じ動作をさせるための課題はたくさんありますが、距離を測るセンサーの正確性、自ら動作を修正するフィードバック機能の向上などにより、少しずつ人間の動作に近づいています。ハード面や深層学習のようなソフト面での進化によって、ロボットには今後さらに多くの分野で、より大きな貢献が期待されています。
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先生情報 / 大学情報
金沢大学 理工学域 フロンティア工学類 准教授 辻 徳生 先生
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