人類の未来のカギは経済学的思考にあり
経済学が描く、21世紀の人類の「新しい夢」
TVドラマ化された司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』では欧米列強に伍(ご)する「夢」に邁進する明治期の日本人が描かれています。小説が新聞に連載されていた昭和40年代当時は経済成長が日本人の夢でした。
しかしこれらは「過去」の夢です。今後日本は新興国の台頭で「アジア随一の経済大国」でなくなり、地球環境問題に直面します。21世紀に生きるあなたが追うべきは、環境保全と国際協調で人類共通の未来を拓く「新しい夢」で、その実現のカギが経済学です。経済学は元来「(地球環境も含め)限られた資源を皆の幸せのため、どう大切に利用するか」に取り組む学問です。環境保全と経済成長の両立という困難は、未だ克服されていませんが、これを克服すれば21世紀の偉業と後世讃えられるでしょう。
政府の役割とマクロ経済学
「限られた資源」から豊かな社会を築くため、政府は何をすべきでしょう? 旧社会主義諸国のように政府が経済のさまざまな局面に介入する社会もあれば、市場での自由な取引に委ねる自由放任という理念もあります。しかし旧社会主義諸国は人々を豊かにすることに失敗しました。小泉構造改革など市場経済を重視してきた日・米・EUでもサブプライムローン問題に見たような不況や失業問題があり、これら市場の欠陥に政府がどう対処すべきかを研究するのが「マクロ経済学」です。2008年のリーマンショック後の世界金融恐慌が、1929年の世界大恐慌以来の百年に一度の不況と言われながら、影響が大恐慌より軽微だったのは、大恐慌時代にケインズ(1883-1946)が礎を築いたマクロ経済学により、各国政府が協調して経済対策を発動したからです。
人類共通の未来のために
経済成長や地球温暖化防止に向けた国々の協調のため、経済理論が生かされつつあります。21世紀は、自国中心の20世紀的(または19世紀的)な発想と決別し、「地球市民」として人類共通の未来を拓くための「新しい発想」(つまり経済学の発想)での思考が必要なのです。
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