講義No.14517 政治学 教育

制度とガバナンスを考える

制度とガバナンスを考える

政策問題を個人、組織、制度から考える

政策問題は、個人、組織、制度と複数のレベルから捉えることができます。個人の優れた取り組みは、組織が採用することでその対象範囲が広がります。そして、制度として採用されることで、さらに大きな波及効果を持つことになります。その一方で、制度には「強制力」もあります。ゲームのルールである制度の設計の仕方によっては、制度が「制約条件」となる場合もあります。そのため、誰がどこで、何をどうやって決めているのかというガバナンスに着目することはとても重要です。

政策問題を議論する場への注目

ガバナンスを考える上では、政策問題に関わる議論を行う場が開かれていることが大切になります。とくに、誰がそこに参加しているのか、どのような議論がなされているのかについて、情報が公開されることが望ましいです。例えば、教育政策について言えば、首長(都道府県知事や市町村長)と教育委員会が定期的に話し合う場として「総合教育会議」が設置されました。それぞれの立場から教育問題にどのような優先順位をつけて、どのような手段を用いて、その解決のために取り組むのかを議論します。また、この会議では小学生から高校生までが当事者として、また様々な教育活動を展開する実践者や専門家が参加をして議論を行うこともあります。

私たちには何ができるのか

総合教育会議は、原則公開のため、傍聴することが可能ですし、その議事録を読むことも可能です。研究者だけではなく、わたしたち市民が身近な教育問題について、何が争点になっているのか、どのような課題を解決しようとしているのかを知ることができます。一人一人が関心を持ち続けることが、より良い政策を追究することの一歩でもあります。関心を持った事柄について、ガバナンスの観点から、解明することが大切です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

金沢大学 人間社会学域 法学類 准教授 本田 哲也 先生

金沢大学 人間社会学域 法学類 准教授 本田 哲也 先生

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政治学、行政学、公共政策学

メッセージ

少しでも疑問を持つことや不思議に思うことがあったら、できれば自分の目や手、足を使って、それが今どうなっているかの実態を探り、現状を把握をしてみてください。すると次になぜそうなのかという疑問がわいてくると思います。原因にはどのようなことが考えられるのか、仮説を考えてみてください。仮説が思い浮かべば、その次は検証する作業です。このようにして科学は進歩していきます。あなたも参加してみませんか?

金沢大学に関心を持ったあなたは

金沢大学は150年以上の歴史と伝統を誇る総合大学であり、日本海側にある基幹大学として我が国の高等教育と学術研究の発展に貢献してきました。本学が位置する金沢市は、日常生活にも伝統文化が息づき、兼六園などの自然環境に恵まれ、学生が思索し学ぶに相応しい学都です。江戸時代から天下の書府とも呼ばれ、伝統の中に革新を織り交ぜて発展してきた創造都市とも言えます。「創造なき伝統は空虚」との警句を胸に刻み、地域はもとより幅広く国内外から来た意欲あるみなさんが新生・金沢大学への扉を共に開くことを期待しています。