自分の悩みという「なぞ」に興味をもち、それを探求するコツを知ろう
自分の実感を大切にするカウンセリング
心理的支援には、心身の困難さを抱える人を対象とした心理療法や、心の健康の保持増進のためのカウンセリングなどがあります。一般の人でも体験しやすいカウンセリング技法の1つである「フォーカシング」では、自分の実感とていねいに関わるために、さまざまな問いかけを用います。例えば、「今のあなたの状況を何かに例えるとしたら、どんな感じでしょう?」と問いかけると、ある人は「せまい部屋にこもっているような、息づまる感じがする」と表現するかもしれません。自分の状況をどのように実感しているかを表現し、言葉やイメージでとらえていきます。
フォーカシングは「なぞかけ」と同じ?
私たちは実感を手がかりに、悩みと積極的に関わっていくことができます。先ほどの例だと「どうして今の状況が“息づまる、せまい部屋”のように感じられるのだろう?」と考えることで、悩みをていねいに探るきっかけになります。もちろん、納得のいく答えがすぐ見つかるとは限りません。ですが、ただ思い悩むのではなく、自分に問いかけるプロセスを続けることで、その悩みと新しい関わり方をするのです。これは、答えが出てきそうで出てこない「なぞかけ」を解くのに似ています。フォーカシングは、なぞかけ遊びをするように、自分の悩みという「なぞ」に興味を持ち、探求するプロセスです。
楽しみながらクリエイティブに悩みと関わる
自分の悩みに興味をもつことは、それまでとは違った仕方で悩みと関わることです。大切なのは、よくわからないこと、未知のものにも興味をもつ、ということです。なぞかけの「その心は?」にあたる答えについて、言葉遊びをするように楽しみながら探求することです。うまく悩むには、このようなコツがあると言えます。実際にこれまで、なぞかけを使ったフォーカシングがワークショップで実践されています。悩みと関わる時間を過ごすことは、ネガティブなことばかりではありません。それは、新しいアイデアを見つけるためのクリエイティブな時間でもあるのです。
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神戸学院大学 心理学部 心理学科 講師 岡村 心平 先生
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