変わりゆく形にあわせて考え、実践するこれからのまちづくり

変わりゆく形にあわせて考え、実践するこれからのまちづくり

住民主導のまちづくり

あなたは自分が暮らす地域の自治会や町内会についてどれぐらい知っていますか? 地域住民やその代表によって組織されるこれらの団体は、地域の重要な活動基盤として地域内でさまざまな役割を担っています。しかし、近年では若い世代を中心として、地域との関わりが薄く、自治会に加入しない人たちが増えており、こうした傾向を変えることは簡単ではありません。そこで、最近では小学校区など、これまでよりも広い区域を単位とした「地域づくり協議会」を設置して、住民主導によるまちづくりがさまざまな形で行われています。

これからの地域活動のあり方

より多くの人に地域活動に目を向けてもらうためには、従来の活動内容を今の形にあわせて変えることも重要です。たとえば、自治体で定期的に開催されている会合に、子育て世代が参加しやすいイベント要素をもたせることも有効です。
また、地域にある大学が地域づくりに参加することで、地域が活性化されることもあります。学生や教員という地域住民以外の人たちと、空きテナントを有効活用する方法や、地域の婦人会に若いメンバーを増やす方法などを、ともに考えて実践します。それによって、地域の人たちが気付かなかった地域の魅力や価値を再発見することにつながります。

アイデアと実践が理論を強化する

近年、地域や公共の政策を考える上では、EBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)という、統計などの数値的な根拠に基づいた政策づくりが重要視されています。こうした合理的な視点が重要であることは間違いありません。しかし、地域や社会は非常に複雑な要素を持つ「人間」が作り出すものです。現在の日本はかつてない超高齢社会を迎えており、ときには過去のデータからは得られない斬新な発想を持って、地域をデザインしたり、まちづくりを実践する必要があります。そこから得られた知見をフィードバックすることによって、公共政策を考えるための理論もより効果的なものになり、社会に役立つ学問となるのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

奈良県立大学 地域創造学部 地域創造学科 教授 高津 融男 先生

奈良県立大学 地域創造学部 地域創造学科 教授 高津 融男 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

公共政策学、コミュニティ政策学、行政学

先生が目指すSDGs

メッセージ

ものごとは、自分ではよく見えているつもりでも、実は全然見えていないことがあります。とくにその道の専門家と比べてみると、ものごとの分類や差異を認識する細かさが、まったく異なります。私が専門とするコミュニティ政策においても、まずは町内会や自治会といった「足元」をしっかりと見つめ直すことが重要です。その上で、見えてきたものをもとにして再び問いを立て直し、仮説を立て検証していきます。大学以降の学びでは、こうした地道なプロセスを重ねることが大切であると知ってほしいです。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

奈良県立大学に関心を持ったあなたは

■「基本理念」
わが国が21世紀において、さらなる発展を遂げるためには「地域」に視点を置いた教育研究が必要です。地域経済や観光に関する教育研究により、地域づくりに貢献できる優れた人材を養成するとともに、研究活動の成果を地域に還元し、さらに地域に開かれた大学として生涯学習の場を提供することによって、社会・文化の発展に寄与すること。
■「地域創造」とは
経済、文化、歴史、社会等に関して一つのまとまりとしての意味を持った地域を活性化し、人々が豊かな生活を享受できる地域社会を築くことです。