どうやって、幼児に「エネルギー」を教えるか
1000年先の未来につなげるために
SDGs(持続可能な開発目標)を構成する17の目標のうちの1つとして、「質の高い教育」が掲げられています。たとえ素晴らしい教育を提供したとしても、新開発の技術を使って地球温暖化を止めるといったような劇的で短期的な効果は見込めません。しかし、これから100年先、1000年先にも持続する、より良い社会を未来に実現するためには、その社会で生きる人々に対して行う教育は大きな役割を担っています。その一環として、近年では就学前の幼児の頃からエネルギー環境に関する教育が始められています。
遊びの中でもエネルギーは学べる
幼児にエネルギーや環境について教えて理解できるのか、と疑問に思うかもしれません。確かに、幼い子どもたちには、化石燃料や地球温暖化の問題を言葉で理解することは困難でしょう。しかし、子どもたちの日常的な体験の中にも、各種のエネルギーは存在しています。日なたの暖かさや、ボール投げ、たこ揚げにもエネルギーは関わっています。「どうして、あのたこは空高く飛べるのかな?」と問いかけてあげれば、子どもたちはそこに風という「力」があると意識するようになります。このように日々の遊びを通して、エネルギーを体験しながら学んでいくことが出来るのです。
五感を通した学びを積み重ねる
幼児教育では、体験は1回あればそれで十分という訳ではなく、何度も積み重ねていくことが特に重要です。例えば、紙で作った釣りざおが水にぬれて壊れてしまった体験があれば、今度は紙以外の素材で作ろうとする試みにつながるでしょう。そうした試行錯誤の体験を繰り返す中で、子どもたちは新しいことに気がついたり、学んだりしていきます。大人のようにうまく言語化はできなくても、実は幼い子どもたちも子どもなりにいろいろなことを感じたり、考えたりしているのです。また、幼児期は1年間でも思考能力が大きく成長していく時期なので、その発達段階にうまく合わせた教育の工夫が求められます。
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先生情報 / 大学情報
常葉大学 健康プロデュース学部 こども健康学科 准教授 中村 俊哉 先生
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