GPS以外の方法で位置を知る 「ジャイロセンサ」の活用
GPSは万能ではない?
地図アプリなどでGPSを使うと、現在地を確認できます。しかしこの機能は森の中や水中などの電波が届かない場所では使えません。また、GPSはアメリカが打ち上げた衛星を使って位置を取得しているため、世界情勢によっては、いつまでも安全に安定して使用できる保証はありません。そこでGPSの代わりに「ジャイロセンサ」を使った、新たなナビゲーションシステムの開発が始まりました。ジャイロセンサとは物体の位置のズレを把握できる仕組みで、一般的なスマートフォンにも搭載されています。
進行方向を指示するアプリ
スマホのジャイロセンサを使って、進行方向を指示するナビゲーションアプリの開発が行われています。例えば目標地点に向けてまっすぐ進まなければいけないときに、途中で左にズレたら「右に戻ってください」のようにアプリが指示を出すのです。シンプルな機能ですが、森の中のように道が整備されていない入り組んだ場所では十分役立ちます。このように機能を絞ったアプリにするのは、故障を防いだり普及を促したりする上でも重要です。複雑な機能をたくさん盛り込んでも、使いこなせない人がいるかもしれません。取扱説明書を読まなくても直感的に動かせるようにすることで、社会に普及しやすくなると期待されています。
場面に適した道案内
アプリには、用途に応じて適切な指示をすることも求められています。例えば大きな船を後方の桟橋に近づけたいときに、まっすぐ後ろに下がるように指示を出すと船の操船手は困ってしまいます。大きな船はすぐには後退できないからです。そのため大きくカーブして一度桟橋の後ろに回り込んでから、再び桟橋に向かって前進するコースをとります。船でも使えるナビゲーションアプリを実現するためには、このような人の操縦パターンや乗り物の特性を考慮して適切な指示を出さなければなりません。「近道」を教えるのではなく、「実際に行けるルート」を示せるようにしようと研究が続いています。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
追手門学院大学 理工学部 機械工学科※2025年4月開設 教授 土井 正好 先生
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